「森林の”7つ”の機能とは!? -放置された森林がもたらす影響- 」のうち、本記事では”水源涵養機能”についてご紹介していきます。
まず「涵養」という言葉には、
涵養(かんよう):少しずつ養い、育てる
という意味があります。
この意味から、水源涵養機能は「水を貯め、その水質を改善する機能」という意味を表します。
本記事では、この「水源涵養機能」の以下の2つの役割を紹介していきます。
① 水量の平準化 -森林が「緑のダム」と呼ばれる理由-
② 水質の改善 -湧水がおいしい理由-
水量の平準化とは!? -森林が「緑のダム」と呼ばれる理由-
水量の平準化の役割には、さらに2つの機能があります。
1つ目は、大雨が降った時の「洪水の抑制」です。
川の氾濫を抑える効果があります。
2つ目は、雨が一定期間降っていない時の「水が枯渇しないようにする機能」です。
森林に降り注いだ雨は、枝や幹を伝って地表にたどり着き、ゆっくりと土壌へと浸透していきます。
森林土壌が一定期間に浸透させる雨水の量は、草地の2倍、裸地の3倍とされており、森林土壌は大きなスポンジのような役目を果たしています。
このため大雨が降っても洪水が起きにくく、また雨がしばらく降らない時でも、溜まった水が川へ流れていくため、川の水が枯渇しにくくなります。
人や動植物が快適に生きていくためには、水の確保が重要な要素の一つです。
日本は急勾配な山々が多く、もし地面が全てコンクリートや砂漠のような状態であると、ひとたび大雨が来るとあちこちで川の氾濫が起きてしまいます。
また反対に、雨が数日間降らなければ、1週間もしないうちに川の水は干からびてしまい、人々の生活や動植物の生態系に大きな影響を与えてしまいます。
このように水量の平準化には、水を貯めておく”ダム”のような役割があり、森林は「緑のダム」と呼ばれています。
日本のブナ林には、特にこの機能に優れている木が多く、ブナの幹自体にも多くの水を蓄えています。(以下の記事参照)
「橅(ブナ)」という漢字表記は、「”木”では”無”い」という意味を表しています。
これは”ブナ”が水を多く含んでいるため、乾燥した際に”割れ”が生じやすいことから、材木として使い物にならないという意味が由来とされています。
しかしながら「緑のダム」としての役割を考えると、ブナ林はしっかりと森林環境を守る「森の母」と呼ばれる所以の木であることが分かります。
水質の改善とは!? -湧水がおいしい理由-
もう一つの重要な機能に、水質の改善があります。
水は森林土壌を通過していくことで、水に含まれる”鉄分”や”養分”は木の根っこに吸われ、水質は改善されていきます。
一方で、一般的なコンクリートダムの場合は、水が貯まるほど有機物が多くなり、水質は悪くなっていきます。
これが、緑のダムとコンクリートダムの違いになります。
しかしながらもちろんのこと、コンクリートダムは人為的に水量を調節できるため、干ばつや災害などの緊急時に対応できる役割があります。
そのため、こと水質の改善に関しては、森林がその役割を担っていると言えるでしょう。
また雨水には、”窒素”や”リン”の成分が含まれています。
これらの成分は、樹木にとっての栄養素であるため、木の根っこより吸収がなされます。
”窒素”や”リン”は、主に苦味成分でもあるため、雨水が森林土壌を通過することで、おいしい水へと変化していきます。
健康的な森林から流れる川の水や湧水はおいしいとされるのも、この森林の水質改善によるものです。
最後に – 森林を次世代へ
日本の森林率は70%であり、この「水源涵養機能」の側面を考えると、日本は世界的にも水に恵まれた国です。
そのため森林を守ることが、水を守ること、生態系を守ることへと繋がり、次世代へこの森林環境を受け継いでいくことへと繋がります。
以上が、”森林の「水源涵養機能」を紹介!湧水がおいしい理由とは!?“になります。最後まで読んで頂きありがとうございます。
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