秋になると木々の葉は鮮やかな赤色に色付きます。もみじ狩りは日本の風情ある文化の一つですね。ある調査で月間の外国人観光客数を調べると、驚くことに一年の中で紅葉時期である11月が最も多いそうですね。日本人と同じく、外国人観光客も紅葉の時期を楽しみにしていることがうかがえます。

紅葉はなぜ赤色なのか?もみじ狩りの由来と魅力を解説!

 さて、皆さんは「もみじ狩り」の由来をご存じでしょうか。「狩り」という言葉から連想されるように、古来から獣を「狩る」という意味で使われており、そこから果物を採るという意味にも使われるようになったと言われています。「いちご狩り」や「ぶどう狩り」といった言葉も、ここから派生して出来た言葉であるようです。

 そこからさらに「草花を眺める」という意味へと派生していくのですが、平安貴族が紅葉の鑑賞を行う際に、洒落として紅葉を「狩り」に行くと言ったことが由来であるとされています。「お花見」も以前は「桜狩り」と呼ばれていた時期もあったそうです。

紅葉が「赤く」なる悲しいエピソード

 それではなぜ、「緑色」をしていた木々の葉が、秋には「赤色」へと色が変わるのでしょうか。

 木にとって葉は光合成を行う大切な器官であり、光合成の動力となる太陽の光がふんだんに降り注ぐ夏季はとても忙しい時期であります。そして、木は夏季に光合成によって得た「糖」を栄養として、すくすく成長していきます。

 どころが、秋に近づくにつれて日に日に日差しは弱くなり、昼間の時間も短くなっていきます。また気温が下がると光合成の効率も低下していきます。

 そして、冬へと向かっていきます。「糖」の生産量は低下しても、木の呼吸活動によって「糖」は消費されていきます。

 また、秋から冬になるにつれて雨が少なくなっていきます。葉は光合成をしないどころか、気孔からの蒸散によって、木にとって貴重な水分をも奪っていく存在へと変わってしまいます。

 そうして、葉にあった残りのタンパク質はアミノ酸に分解され、本体である木の幹に回収されていきます。そして最終的に、木はお荷物となった葉を切り捨てる決断を下します。葉の付け根に「離層」と呼ばれる水分や栄養分を遮断する層を作るのです。

離層された後の葉の運命

 葉は「離層」後も、限られた手持ちの水分と栄養分を使って、葉を維持しながら光合成を続けています。

 しかし、生産された糖は「離層」によって幹には到達せず、少しづつ葉に蓄積されていき、やがてその糖分からアントシアニンという赤い色素が作られていきます。アントシアニンは葉にとって水不足や寒冷な気温によるストレスを軽減させる物質です。

 そうして葉は生き残りを図りますが、やがて限界を迎えます。

 光合成を続けてきた葉緑素はやがて低温によって壊れていきます。そして緑色の葉緑素が壊れていくと、葉に貯めていたアントシアニンの赤い色素が目立っていくのです。

 紅葉は昼夜の温度差が大きいと美しいと言われていますが、日中に光合成で稼いだ糖を夜の寒さでアントシアニンに変化させた結果だと言えます。

 そして、葉緑素は次第に壊れていき、葉はやがて散って行くのです。

最後に -紅葉に心が惹かれる理由-

 紅葉が散り行く前の鮮やかな「赤色」は、葉が散り行く間際の生き残りをかけた色であると言えます。

 平家物語に「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」という有名な書き出しがあります。私たちが紅葉に心が惹かれる理由は、夏に力を使い切った葉が、秋にそれでも最後の力を振り絞り「赤色」に色付く、その「盛者必衰」のさまが、日本人の精神性と共鳴している儚い瞬間であると言えます。

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