ツバキ(椿)は、その美しい花と実から採れる「椿油」がよく知られています。
身の周りで椿油といえば、シャンプーが有名ですね。
「椿油」の有名な産地は長崎・五島列島で、ツバキは「県の花木」にも選ばれています。
また花は、2月〜4月の寒さが残る春先に開花します。名前に”春”の漢字が名前に入っていることからも、春を告げる花木の代名詞です。
そのため、ツバキは春の季語であり万葉集にも掲載されています。
また、ツバキにはその他にも「寒椿」「冬椿」といった冬の季語があるのをご存知でしょうか。
ツバキは常緑広葉樹(照葉樹)で、冬の中でも色あせる事なく青々としています。
常緑広葉樹に付いては[まとめ] 押さえておきたい樹木の名前と種類の覚え方を紹介 (広葉樹編)で紹介しています。
このことから「不老長寿」のシンボルにもなり、120歳の慶寿は「椿寿(ちんじゅ)」として呼ばれています。
以前紹介した常緑針葉樹「松」も同様に「不老長寿」のシンボルです。
「松竹梅はなぜ ”縁起良く” ”めでたい” 樹木とされているのか!?」で紹介しています。
このように冬を越す常緑樹の神秘的な生命力は、古くから縁起が良いものとして称えられてきたのでしょう。
本記事では、冬を越し春の訪れを告げるツバキの魅力について紹介します。
ツバキの名前の由来を紹介!
巨勢山のつらつら椿のつらつらに 見つつ思(しの)ばな巨勢の春野を(坂門 人足)
引用:「万葉集」巻一, 巨勢山(こせやま):奈良県御所市
ツバキは日本が原産の植物です。
バラが西洋の代表的な花木であるなら、ツバキは日本を代表とする花木と言えます。
ツバキという名前は、葉が厚いことから「あつはぎ(厚葉木)」と呼ばれ、そこから「あ」が抜けて訛り、「ツバキ」と呼ばれるようになったそうです。
または、照葉樹で葉にツヤがあることから「つやはぎ(艶葉木)」が語源となりました。
この歌中の「つらつら椿」とは、並木のように連なって咲くツバキを意味しています。
艶のあるツバキの葉に親しみを込めて「つらつら椿つらつらに」と、韻を踏んで読まれたのでしょう。
ツバキの花の色の種類を紹介!
ツバキの花の色の種類は「赤・白・ピンク」で、木にそのうちの一色か、もしくは色が組み合わさって咲いています。
また、珍しい黄色の花を咲かせる品種も知られています。
ツバキは株ごとに多種多様な性質を持ち、非常に品種が多いことで知られています。
これは「枝変わり」によって、新しい品種が数多く生まれているためです。
「枝変わり」とは!?
「枝変わり」というのは一種の突然変異です。
茎や枝の成長点の細胞で突然変異が起こり、そこから先の花や花びらなどは全く異なる性質を持つことがあります。
そのような花を見つけたら、そこから先を挿し木や接ぎ木することによって、その性質を持つ個体を増やすことができるのです。
ツバキはこのように、新品種を次々と増やしていくことが可能です。
花ごとポロリと落ちる!?
ツバキの花は、入院のお見舞いに持って行ってはいけない花として知られています。
これは、ツバキの花の落ち方によるものです。
一般的な花は、花びらが一枚一枚落ちていくのはご存知の通りです。
しかし、ツバキの花は”花ごと”ポロリと落ちていきます。
この落ちる姿から、急に命を落としてしまうのではないかと連想されたのでしょう。
最後に -サガンカ(山茶花)との見分け方-
咲きそめし庭山茶花は冬らしく 寂びてゐながらくれなゐの花(川田 順)
花にうごきぬ哀れ冬花(佐藤 佐太郎)
同じツバキ科のサザンカ(山茶花)は、冬に花を咲かせる数少ない樹木の一つです。
ツバキは明るく華やかな「春を告げる花」ですが、サザンカは晩秋から初冬にかけて、寂しげに庭先を彩る花とされています。
京都では、12月〜1月の間に花が咲いているものはサザンカであると言えます。
しかし、気候によっても地域差があるため、花の散り方で判断することが多いようです。
見分け方は、ツバキは花ごと落ちますが、サザンカの花びらはバラバラと散っていきます。
ふとツバキの花を見かけた際は、ぜひ落ちている花を観察してみてください。
以上が、「冬を越し春を告げる”ツバキ(椿)”の魅力を紹介!」 になります。最後まで読んで頂きありがとうございます。
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