以前に「[まとめ] 押さえておきたい樹木の名前と種類の覚え方を紹介 (広葉樹編)」で樹木の名前と種類を紹介しました。

 ありがたいことに、現在では、本サイトの人気記事となっています。

 そこで本記事は「樹木を覚えたい」または「見分けたい」方向けの”雑木林編“になります。

 本記事では、雑木林に生息する樹木とその見分け方についての紹介していきます。

 雑木林は似ている樹木が多く判別が難しいです。

 しかし、「葉」「花」「実」そして「樹形」や「樹皮」を観察すると、雑木林に生息する樹木を見分けることができます。

※雑木林に落ちている実のほとんどは「ドングリ」です。以下の記事で、詳しく紹介しています。

 このポイントさえ押さえれば、その樹木の名前は判明します。

 最後までお付き合い頂けると幸いです。

雑木林を構成する樹木

 雑木林は、人里に近いシラカシなどの自然林を伐採し、その後に育つクヌギやコナラなどの広葉樹を残して作った、いわば二次的に生育された林です。

 かつては、薪や木炭の材料が取れる雑木林を守るために、下刈りや枝打ちを行い、木の成長を助けてきました。

 しかし、エネルギー革命や住宅開発により、現在では雑木林は手入れされることなく、ほとんど放置されるようになっています。

 そのため、公園として保護されている雑木林を除いては、自然に近い林を形成しています。

詳しくは「雑木林とは?需要が高まっている雑木林の歴史と今後」で紹介しています。

 雑木林は様々な形と色があり、一本一本違った樹木が目を楽しませてくれます。

 雑木林に生えている樹種の大半は、クヌギやコナラです。これにミズナラ、カシワ、クリなどが混在していることが多いです。

 その他には、シデアカマツハルニレが挙げられます。

クヌギとコナラの見分け方

 雑木林の中でクヌギやコナラと他の樹木を見分ける際、以下のポイントに当てはまれば、まずクヌギかコナラと思って間違いないです。

  • 樹皮が灰色で縦の割れ目がある
  • 高木で落葉広葉樹

落葉広葉樹については[まとめ] 押さえておきたい樹木の名前と種類の覚え方を紹介 (広葉樹編)で紹介しています。

 クヌギとコナラの両者を区別する際は葉を見れば分かります。

 クヌギの葉は長細い楕円形でクリの葉とよく似ていますが、コナラの葉は卵形です。

 また、特にクヌギには、カブトムシやクワガタがたくさん集まります。(ハルニレにも集まります)

 ぜひ夏にお子さんを連れて、クヌギの木を見つけてみてください。

夜間にカブトムシやクワガタが木に集まる理由

 落葉樹には「芽吹き」「花期」「成長」「結実」「落葉」という一年の周期があります。

 これと同様に、樹木には一日の周期があります。

 日中は光合成により、養分となる糖を作り出します。

 葉の中に含まれている「葉緑素」が、葉の裏の気孔から取り入れた「二酸化炭素」と、根から吸い上げた「水」から「糖」と「酸素」を作り出します。

 詳しくは「世界で一番高い木とは!?木が成長できる限界と「水」との関係を考察!」で紹介しています。

 作られた糖は、日中は少ししか本体の幹へ送り出さずに、葉に糖を蓄えています。

 夜間は、葉に蓄えていた糖をどんどん枝や幹、根に送り出します。

 この糖は水に溶け「樹液」となります。

 このことから、夜間にカブトムシやクワガタが集まるのです。

最後に -雑木林の主な樹木の見分け方まとめ-

 雑木林を構成する主な樹木である「クヌギ・コナラ・カシワ・クリ」の紹介と見分け方を解説します。

 すでに紹介している樹木については、過去の記事を参照して頂けると幸いです。

クヌギ(櫟)の見分け方

 ブナ科の落葉広葉樹で、別名「ツルバミ」と呼ばれています。

 名前の由来は、昔から薪炭木として重宝され「国木(クニキ)」と呼ばれたことが語源です。

 クヌギは成長が早く、植林から10年程で木材として利用できます。

 また、椎茸栽培の榾木(ほだぎ)としても利用されています。

 見分けるポイントは、以下になります。

  • 葉の長さは5〜8cm
  • 葉は細長い楕円形で尖った鋸歯がある
  • ドングリは直径2cmほどの大きな球形
  • 樹皮は灰色で縦に割れ目がある

コナラ(小楢)の見分け方

 ブナ科の落葉広葉樹で、クヌギと共に雑木林の代表的な樹木です。

 日本各地に自生しており、建築材や木炭材などに利用されています。

コナラとミズナラについては「ドングリの木・コナラの紅葉と魅力を紹介!薪や炭の材として生活に欠かせなかった雑木林を代表する木」で紹介しています。

 見分けるポイントは、以下になります。

  • 葉の長さは6〜12cm
  • 葉は卵形で粗い鋸歯がある
  • ドングリは長さ1.5〜2cmほどの長楕円形
  • 樹皮は灰色で縦に割れ目がある
  • 葉は秋に赤褐色に紅葉

カシワ(柏)の見分け方

 ブナ科の落葉広葉樹で日本各地に自生しており、木材は建築材や器具材として、葉は柏餅に用いられています。

カシワについては「柏餅で有名なカシワ(柏)の木とは!?セブンスターの木の魅力を紹介!」で詳しく解説しています。

 見分けるポイントは、以下になります。

  • 葉は長さは20cmほど
  • 波状の切れ込みのある大きな葉
  • ドングリはほぼ球形
  • 樹皮は縦に浅く割れ目がある

クリ(栗)の見分け方

 ブナ科の落葉広葉樹で日本各地に自生しており、栽培もされています。

 木材は鉄路を固定するための枕木として多用されてきました。

クリについては「秋の味覚 ”クリ”の紅葉の魅力と歴史を紹介!」で詳しく解説しています。

 見分けるポイントは、以下になります。

  • 葉はクヌギに似た細長い楕円形
  • 葉は鋸歯の先まで緑色(クヌギの葉と異なる)
  • 樹皮は黒褐色で縦に割れ目ができる
  • 6月〜7月に黄白色の細長い花をつける

 これらのポイントを押さえて、雑木林の散策を楽しんで頂けると、幸いです。

 以上が「[まとめ] 雑木林の樹木の名前や見分け方を紹介!カブトムシやクワガタが集まる樹木と夜間に集まる理由とは!?」の解説になります。最後まで読んで頂きありがとうございます。

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