ウルシの樹液は、塗料や接着剤、漢方薬として用いられ、果実は漆ロウとして利用されてきました。
「ウルシ」という名前は、幹から漆が採取できることから「潤液(うるしる)」や「塗液(ぬるしる)」が転訛したことが由来とされています。
また、漆は非常に紅葉が美しいことでも知られています。
このことから、紅葉の美しさを意味する「麗しの木」から由来したという説もあります。
ウルシ・ハゼノキ・ナンキンハゼ蝋
ウルシは、初夏に黄緑色の小花を咲かせ、秋になると光沢のある淡黄色(クリーム色)の実を付けます。
ウルシの実はツヤツヤしていることから、ヤマウルシの実と区別することができます。
そして熟した実は、蝋の採取に用いられます。
また、ウルシは「雌雄異株」です。
雄株は、漆採集の目的に植栽され、漆の品質が良いです。
漆生産の品種は、主に2種類あり「モチハダ」と「ナシハダ」が有名です。
「モチハダ」の方が、樹皮は滑らかで品質が良いとされています。
そして、この雄株を1ha当たり800〜1,200本程度を目安に、植栽・育成が行われます。
しかし雄株は、果実を少数しか実らせないため「漆ロウ」の生産には向いていません。
そのため「漆ロウ」の生産には、主に雌株が用いられていました。
漆の採取が終わる晩秋から初冬にかけて、果実を採取していきます。
この果実を温め、圧搾すると「漆ロウ」ができ、これを冷やして固めることで「和ろうそく」を作ることができます。
性質としては、ハゼノキから採る「木ロウ」に似ています。
ウルシやハゼノキの他にも、ナンキンハゼの果実は種子に油脂を多く含んでおり、40%程の歩どまりで蝋を抽出することができます。
昔は、この種を袋に詰め、床磨きの天然ワックス剤としても使われていました。
タネを植える際の注意点とは!?
種のまわりに蝋がついているのです。
urushist_feeljさん(instagram)
これを昔は蝋燭にしていました。
手間をかけた種を丁寧に撒いても発芽率は10%程度。
良い種を見極め、発芽率を上げたい。
必死の試行錯誤が続けられています。
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期待しています。
ウルシの種は、非常に発芽しにくいことで有名です。
これは、種表面のロウ(油)成分のコーティングが原因です。
水と油は混ざらないことはご存知の通りですが、この油のコーティングにより、給水性が悪くなります。
樹木の種は、地面に落ちた直後に給水できるかどうかが発芽するかしないかの命運を分けます。
ドングリの場合は乾くと芽が出ないため、落ちると早々に、ドングリの尖った先から根を出し、地面から水分を確保します。(以下の記事参照)
しかしウルシの種は、そのロウ(油)成分により、種内部まで水分は浸透していきません。
これは、他のハゼノキやナンキンハゼも同様です。
結果、種子をそのまま播いても、その年には全く発芽せず、長い時間をかけて少しずつ発芽しするため、生育速度も遅いです。
そのため種は必ず、発芽を阻害するロウ成分を取り除くために、発芽促進処理を行う必要があります。
そして処理を行った後、吸水させて膨らんだ種を播く必要があります。
最後に – 子孫を残すための方法
ウルシやハゼノキ、ナンキンハゼの果実には、油脂を多く含んでいます。
そのため、発芽には時間を要します。
しかし、その栄養たっぷりの種子は野鳥に人気があります。
野鳥による種の散布は、種をより遠くへ運ぶため、より適した環境で子孫を残すことのできる方法でもあります。
一長一短ではありますが、このように樹木の世界では、子孫を残すための様々な戦略が取られているようです。
以上が「タネを植える際の注意点とは!?ウルシ・ハゼノキ・ナンキンハゼ編」になります。
最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
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