街路樹は、私たちにとって最も身近な存在です。
しかしながら、街路樹の種類を見分けるには簡単ではなく、少しコツが必要です。
普段何気なく見ている街路樹でも、種類がわかるようになることで見える景色がまったく変わります。
本記事では、葉の形で街路樹の種類を見分ける方法についてご紹介しています。
ぜひ最後まで、お付き合い頂けると幸いです。
小さな葉の集まり – エンジュ・ニセアカシア編
葉はそのつき方によって、単葉と複葉に分けられます。
葉の軸(葉柄)に、葉っぱが1枚付いたものを単葉と呼び、複数の葉っぱが付いたものを複葉と呼びます。
花札でお馴染みのフジの葉は、小さな葉が羽状になっていますが、これを羽状複葉と呼びます。
フジやエンジュ、ニセアカシアなど、マメ科の樹木には羽状複葉を持つものが多いです。
エンジュは中国原産の樹木で、漢字で「槐」と書きます。
北京のエンジュ並木は、世界的にも有名です。
エンジュとよく間違えられる「ニセアカシア」はハリエンジュの別名で、アメリカが原産です。
初夏に咲く「ニセアカシア」の花は、白く房状に垂れ下がっていますが、その開花よりも遅く咲く「エンジュ」の花は、淡黄色で上向きに咲くことが特徴です。
この違いによって「エンジュ」と「ニセアカシア」は、区別することが出来ます。
花の開花時期や、色の違いの他にも、エンジュの小葉は、ニセアカシアよりもやや小ぶりで、卵の形をしていることからも区別することが出来ます。
また、黒くゴツゴツした樹皮のニセアカシアに対して、エンジュの樹皮は、灰色で縦の割れ目も浅いことでも見分けることが出来ます。
※ニセアカシアについては、以下の記事でも紹介しております。
”トチノキ”は手のひら形の葉が特徴
トチノキの葉は5〜7枚の小さな葉が、手のひらの形のように集まっているのが特徴です。
これを掌状複葉と呼びます。
葉は非常に大きく、小葉の中央のものは、30cm程になります。
全国の森林に自生する樹木でありますが、街路樹としてもよく見かけます。
並木として有名なパリの「マロニエ通り」は、トチノキの近種の「セイヨウトチノキ」とも呼ばれていますが、トチノキに比べて葉は小ぶりで、小葉が丸みを帯びていることでも見分けることが出来ます。
※トチノキについても、以下の記事で紹介しております。
細かなギザギザ葉の形で見分ける – トウカエデ・モミジバフウ編
トウカエデは、東京の街路樹の中で、イチョウ・プラナタスに次いで多く植えられている樹木です。
カエデの語源は「蛙手」とされているように、カエデ属のほとんどが、蛙の手のような形で分裂した葉を持ちます。
一般に「モミジ」と称されるイロハカエデの葉は、5〜7烈しますが、トウカエデの葉は3烈なので見分けることが出来ます。
葉の形がトウカエデ似ている「フウ」は、「楓」の漢字が当てられていますが、カエデ科はなく「マンサク科」であるため、ややこしいです。
「トウカエデ」と「フウ」を見分けるには、葉っぱと樹皮に注目します。
「フウ」の葉にはギザギザがありますが、トウカエデにはギザギザがないので、この点で見分けることが出来ます。
このギザギザの形を「鋸歯」と言います。
また、トウカエデの樹皮は褐色で、よくハゲるのが特徴です。
※「トウカエデ」や「モミジバフウ」については、以下の記事でも紹介しております。
ひし形の葉が風に揺れる”ポプラ”の木
ポプラの木と言えば「非常に背が高い木」であります。
ポプラは、ヤナギ科ハコヤナギ属の総称です。
そのため”ポプラ=ハコヤナギ”とされています。
全国の森林に自生する「ハコヤナギ」や北海道大学の並木で有名な「アメリカハコヤナギ」、新宿御苑の「セイヨウハコヤナギ(イタリアンポプラ)」など、海外から輸入された樹種もあります。
東京の街路樹として植えられているのは、樹高が低くて、暑さにも強い「カロリナハコヤナギ」です。
艶のあるひし形の葉を持ち、よく風に揺れています。
※「ヤナギ」については、以下の記事で紹介しています。
最後に – 街路樹とは
今回は葉の形で、街路樹の種類を見分ける方法についてご紹介しました。
通勤・通学などで普段、何気なく見ている街路樹も、このように名前や特徴を見分けることで、景色が変わってきます。
また樹木を見分けるにはポイントや、分類別でみると覚えやすいですが、実際に目でその樹木を見て覚えるとすぐに覚えることができます。
樹皮や葉っぱの形など、ぜひ通りすがりの樹木を観察してみてください。
以上が「葉の形で街路樹の種類を見分けよう!トウカエデ・モミジバフウ・ポプラ・エンジュ・ニセアカシア・トチノキ編」になります。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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