樹木は、土壌から窒素(N)リン(P)カルシウム(Ca)などの養分を、根から””と一緒に吸い上げ、これらを食糧に成長しています。(以下の記事参照)

 養分は、””や”落ち葉”、”岩石”から絶えず供給されることで樹木の成長を助け、樹木は土壌に”落ち葉”を落として養分を戻します

 特に”窒素(N)”は、土壌中での量が少ないため、この供給が律速となり、樹木の成長を制限するとされています。

 そのため、農作物のように”速い成長”と”多量の収穫”が求められる土壌には、肥料で窒素を補充します

 樹木はこれほど急速には成長しないので、それほど肥料を供給する必要はありません。

 しかしながら、樹齢によって必要な栄養量が変化します。

 成長が活発な青年期はたくさんの栄養分が必要であり、熟年期ではそれほど必要ではなくなります。(以下の記事参照)

 このように、”森林”と”土壌”には密接な関係性があります。

 本記事では、森林での”土壌”の役割について紹介していきます。

 また、日本の土壌の”特徴”と”硝酸汚染の問題”についても紹介します。

 最後まで、お付き合い頂けますと幸いです。

森林での”土壌”の役割とは!?日本の土壌の”特徴”と”汚染問題”を紹介!

 土壌は、さまざまな生物の”生活の場”を提供しています。

 栄養分を土の中に”貯蔵”し、必要に応じてそれらを”供給”する役割を担い、これらの栄養分は土壌が積層してゆく過程で生成されていきます。

 土壌のもとは、”岩石”や”火山灰”です。

 これらが長い年月をかけ、温度の変化や雨よる水の移動、生物の働きによって細くなり、さらに化学的な性質が変えられて、土壌は形成されていきます。

 これが、”土壌生成”と”風化”の関係です。

 大気中の二酸化炭素や、その他のさまざまな物質を溶かし込んだ雨が地面に降り注ぎ、浸透し、岩石や土壌の粒子と接触・反応することで、さらに様々な物質を溶かしていきます

 最終的には、それらの物質は植物によって作り出された有機物と混ざり合い、さらに微生物などの働きによって様々な物質が生まれます。

 こうして母材や気象、生物の影響を強く受けて、溶け出した”カルシウム(Ca)”や”マグネシウム(Mg)”などの栄養分が、土壌の粒子に吸着されていくのです。

日本の”土壌”の特徴とは!?

 日本には火山が多く、火山灰の影響を強く受けた土壌が全国各地で見られます。

 火山灰の粒子はとても細かく、化学的にも変化しやすいものが多いため、水”と接触して多くの元素が速やかに溶け出していきます

 また、前述の元素以外にも、”アルミニウム(Al)”などの元素も溶け出しやすい性質を持っています。

 溶け出したアルミニウム溶液は”酸”としての挙動を示し、これによって日本の土壌は、欧米と比べて酸性が多いです。

 しかし日本の森林では、さらなる新しい母材が供給されやすい環境であるため、また斜面地形によって土壌が流れ出しやすいため、比較的に若くて未熟な土壌が多いとされています。

”土壌”と”窒素(N)”の関係性とは!?

 窒素は、空気中に約80%含まれています。

 しかし植物は、このガス状窒素をそのまま吸収することができません

 そのため、吸収の主体は”アンモニウム(NH4+)”または”硝酸(NO3-)”などの無機態窒素です。 

 窒素には、タンパク質のような”有機的”なものと、アンモニウムや硝酸のような”無機的”な化合物があります。

 有機的な窒素も、”落ち葉”や”土壌中の生物”などに蓄えられ、微生物がこれを分解し、無機的な化合物へと変換されます。

 そして作られた無機態窒素は、土壌中の”腐植”や”粘土鉱物”がこれを保持し、最終的には樹木に吸収されていくのです。

 また、土壌中の”腐植”や”粘土鉱物”は、その表面が電気的にマイナスに帯同しているものが多いです。

 そのため、”アンモニウム(NH4+)”のようにプラスに帯同しているものは土壌に保持されやすいですが、マイナスである”硝酸(NO3-)”は保持されず、流れ出していきます

 また”アンモニウム(NH4+)”も、土壌中で”硝酸化成菌”という微生物の働きによって”硝酸(NO3-)”になります。

 これにより現在、”硝酸汚染”が問題となっています。

最後に – 土壌の汚染問題

 農地では過剰の窒素肥料による、地下水の”硝酸汚染”が問題となっています。

 ”硝酸”は水に溶けやすく、雨により地下水にまで硝酸が流れ出ています。

 しかしながら現在、農地だけではなく”森林”でも、”渓流水の硝酸地”が増える問題が見つかっています。

 これは、雨に含まれる無機的な窒素化合物の問題によるものです。

酸性雨」と呼ばれるこの雨は、主に”工場”や”自動車”から排出される窒素化合物が原因とされています。

 現在、日本の森林の成熟化が進んでいますが、このように窒素の流入が増え続けると”渓流水の硝酸地”のような場所が増え、日本が誇る”原生林”が脅かされる危険性があります。

 酸性雨は地球規模の問題であり、日本以外の国々の協力が必要な問題でありますが、次の世代へ日本の素晴らしい環境を伝えていくためにも、環境に優しい経済活動に取り組むことが必要です。

 以上が「森林での”土壌”の役割とは!?日本の土壌の”特徴”と”汚染問題”を紹介!」になります。最後まで読んで頂きありがとうございます。

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