ラクウショウ(ヌマスギ)は、メタセコイヤと非常に似ています。
メタセコイヤは、1941年に京都大学の三木茂博士が、セコイアやラクウショウだと思われていた化石を区別し、名付けたのが「メタ(後の)セコイア」です。
このように、メタセコイヤは化石でしか知られていない樹木でした。
セコイアについては「世界で一番高い木とは!?木が成長できる限界と「水」との関係を考察!」で紹介しています。
1945年、中国の四川省で生きた巨樹が発見された際は、世界中が驚愕したと言われています。
メタセコイアは成長が早く、落葉樹のため新緑や紅葉も美しいので、日本各地に街路樹や公園樹として植栽されていきました。
今では滋賀県・マキノ高原をはじめ、樹高30m以上にもなる大木を日本で見ることができます。
メタセコイアについては「メタセコイア並木で有名な滋賀マキノ高原の魅力を紹介!日本紅葉の名所100選に選ばれる秋の絶景をさらに楽しめる歴史を解説!」で紹介しています。
ラクウショウの名前の由来とメタセコイアとの違いを紹介!
ラクウショウは「落羽松」とも呼ばれ、冬になると枝ごと落ちた葉が鳥の羽に似ていることが由来です。
漢字では「落羽松」ですが、マツの仲間ではなくスギの仲間です。
スギについては「花粉のイメージ!? 日本にスギが多い歴史と対策」で紹介しています。
250万年前に絶滅したラクウショウ
北米の東南部からメキシコの湿潤地に分布する落葉針葉樹で、化石研究者も間違うほどに枝葉も樹形もメタセコイアとよく似ています。
原生地では樹齢1000年を超えるものもあります。
巨木になると樹高は50m、直径は5mに達します。
戦後、アメリカを経て日本に苗木が導入され、東京・狛江市には「黒船」でペリーが持参したと言われているラクウショウが残っています。
メタセコイアとの違いは、メタセコイアは対生で枝に対して向かい合わせに葉がついているのに対し、ラクウショウは葉の先がやや丸く、葉が互生で枝に対して互い違いについている点です。
一見したところでは区別はつかないでしょう。
ラクウショウも新緑や紅葉が美しく公園樹などでよく見られます。
京都・宝ヶ池公園には、ラクウショウとメタセコイアのどちらもが植林されており、混交林となっています。
はるか昔、400万年ほど前の第三紀の日本には、コウヨウザンやスイショウ、セコイア、タイワンスギ、そしてメタセコイアやラクウショウなど、今では日本には分布していない、スギの仲間が森林を構成していた時代がありました。
しかし、ラクウショウは250万年前に絶滅し、メタセコイアは80万年前まで生き延びていたのですが、やはり絶滅してしまいました。
現在では、ラクウショウはカリフォルニアの温暖で降水量の多い地域のみに自生しています。
水の上に立つラクウショウの紅葉の魅力
落葉針葉樹であるラクウショウは、秋になると赤褐色に紅葉します。
紅葉する理由については「紅葉はなぜ赤色なのか?もみじ狩りの由来と魅力を解説!」で紹介しています。
その葉はまるで赤い羽根のようで、水面に映し出された紅葉も見事です。
2~3cmぐらいのラクウショウの球形の実は、松ヤニのような針葉樹特有の香りがあります。
熟した実には油分が多く含まれており、落ちた実の水面には油が浮くほどです。
ラクウショウには、鍾乳石のような根が水面に突き出る「呼吸根」が見られます。
これは酸素不足を補うためもので、水辺など湿気の多い場所の個体に見られ、一年の大半を沼地や湿地の中で生き抜くための術です。
また、沼地や湿地の地面が安定しない場所で、体を支えるくさびの役割も果たしていると考えられます。
最後に -古代の面影を残すラクウショウ-
恐竜の時代から栄え、生きた化石と言われているラクウショウ。
水面に立つ高木の姿は、どこか古代の面影を残しています。
水の上に立つラクウショウは笹栗九大の森でも見ることができます。
落葉針葉樹という種類自体がとても少なく、珍しい樹木のラクウショウは一見の価値ありです。
以上が「水の上に立つラクウショウ(ヌマスギ)の魅力とは!?生きた化石メタセコイアとの違いを紹介!」になります。最後まで読んで頂きありがとうございます。
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