明治神宮の森は、”鎮守の森”として知られています。

 しかしながら、その”構成樹”や”生育地”が、自然林とだいぶ異なります

 この明治神宮の森は、全国の篤志者から献木を受けて、1915年から”6年”かけて作られた”人工的な森”です。

 全国から約10万本が奉献され、造営当初、在来木等を含め365種の約120,000本だった内苑の樹木は、第二次境内総合調査によると、234種の約36,000本となりました。(明治神宮)

 こうして植られた樹木は、自然に淘汰されていき、いわゆる「木の博物館」の木々は大きく成長していったのです。

 また、樹木は気孔から”大気汚染物質を吸収”し、光合成によって”二酸化炭素を吸収”することで知られています。

 そのため、樹木が密生するこれら”森林公園”が吸収する二酸化炭素の量は、いったいどれくらいなのでしょうか

 本記事では、この”明治神宮の森の歴史”と”森林公園が吸収する二酸化炭素の量”についてご紹介していきます。

 最後まで、お付き合い頂けますと幸いです。

”明治神宮の森”の歴史を紹介!

 明治神宮の森では、さまざまな樹種が植えられています。

 これは過去に、さまざまな地域で分布する樹木が、明治神宮へ”献木”されたためです。

 主には初期の林相である”アカマツ”や”クロマツ”を主体としていますが、”スギ”や”ヒノキ”の針葉樹、”イチョウ”や”ケヤキ”などによって、神社林としての趣きが整えられています

 またその下層には、将来に主要木となる”クスノキ”や”カシ・シイ類”が植栽され、まさに全国の樹木が勢揃いする”木の博物館”であるのです。

 このように、現代と次世代の樹木がともに共生する”明治神宮の森”の造成計画は、150年間を想定した壮大なプロジェクトでありました。

 現在、明治神宮の森には、234種の約36,000本の樹木が植えられています。

 その中で”最も荘厳な森林”は、本殿裏に植えられています

 ここには、”クスノキ”や”シイ・カシ類”などの常緑高木が植えられており、四季変わらぬ緑で覆われています。(以下の記事参照)

 また、筑波石に”イロハモミジ”を配置した庭園的な場所が設計されており、紅葉期にはひときわ彩りを添えています。(以下の記事参照)

 南参道が大鳥居に接するT字路の一角では、”クスノキ”や”スダジイ”、”アラカシ”、”アカガシ”、”シラカシ”の大木が、それぞれの特色を誇示しながら、寄り添って樹群を形成しています。

 このように明治神宮の森では、さまざまな樹木が観察できます。

森林公園の大気浄化機能とは!?

 樹木は気孔から”大気汚染物質を吸収”します。

 しかしながら、街路樹のそばを通過する車両から放出される”二酸化窒素(NO2)”のうち、吸収されるのはそのうちの2%に過ぎないと言われています。

 このように大気浄化が期待されるのは、一定の広がりを持った森林であり、点在する街路樹の浄化機能はあまり期待できません

 一方で、明治神宮の森の広さは約70haです。

 明治神宮の森で”二酸化硫黄(SO2)“を測定した結果によると、林床の平均濃度は林外のおよそ5分の1でした。

 そのため明治神宮の森は、大気浄化機能としても一役買っていると言えます。

 しかしながら、大気汚染物質は樹木にとっても”有害“であり、吸収しすぎると”異常落葉”や”枝枯れ”などの障害を引き起こす場合があります。

 そのため”森林公園”や”街路樹”に、あまりその効果を期待しすぎるのは得策ではありません。

森林公園が吸収する二酸化炭素の量を計算してみよう!

 対して樹木は、光合成により二酸化炭素を”吸収”する一方で、呼吸により二酸化炭素を”排出します。

 この”吸収”と”排出”の“が”樹木の成長量”となり、炭素(C)成分として樹木内に蓄えられています。(以下の記事参照)

 本記事では、この明治神宮の森を例に、年間の二酸化炭素の吸収量を計算してみたいと思います。

 適切に手入れされた森林、1ha当たりの36~40年生のスギ林が、吸収する年間の二酸化炭素は”約8.8トン”です。(林野庁)

 この吸収量は、”樹種”や”林齢”により異なりますが、これを明治神宮(70ha)に当てはめて計算すると、年間”約600トン”の二酸化炭素の吸収量となります。(以下の記事参照)

 これは、人の呼吸による年間の二酸化炭素排出量に換算すると約1600人分です。

※人の呼気中のCO2濃度は運動量とともに増加し、安静時の約1%から重作業時の9%まで変化します。軽作業時の平均濃度である約3%を基準に考えると、一人当たり1日に吐き出すCO量は約1kgとなります。(温暖化新聞)

 そのため”大気浄化機能”と同様に、”森林公園”や”街路樹”の一部の樹木に、二酸化炭素の吸収効果を期待することは少し荷が重いようです。

 一方で、日本全体の森林を対象に計算してみましょう。

 日本は、国土面積約3,800万haのうち、森林面積が約2,500万haを占めています。

 これを先ほどの同じ条件で、単純計算すると、年間の二酸化炭素吸収量は”2億2,000万トン”となります。

 日本の2018年度の温室効果ガスの総排出量は、CO2換算で”12億4,000万トン”です。(国立環境研究所)

 この温室効果ガスの総排出量のうち、正味の二酸化炭素の割合は”76%”です。(以下の記事参照)

引用:温室効果ガスインベントリオフィス

 よって、日本の年間の二酸化炭素の排出量は”9億4,000万トン”と計算されます。

 以上より、単純計算ですが、適切に管理された森林が増えれば、全体の二酸化炭素排出量の”23%”を森林が吸収できる可能性があります。

最後に – ”森林公園”と”街路樹”の役割とは!?

 このように、まとまった森林量があれば、二酸化炭素を多く吸収することが可能となります。

 そのため”森林公園”や”街路樹”に、その効果を求めるのは少し酷であると言えそうです。

 それよりも、アスファルト道路の照り返しやコンクリートジャングルの中にあって、”涼しい木陰”や”憩いの場”、”目に優しい緑”を提供する”精神的な面への効用”が、高く評価されるべきであります。(以下の記事参照)

 また同時に、温室効果ガスの削減を”森林”にばかり負担させるのではなく、”根本的な解決策”を見つけていく必要があります。

 以上が「”明治神宮の森”の歴史を紹介!森林公園が吸収する二酸化炭素の量を計算してみよう!」になります。

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