木炭は、木材を炭窯(かま)で1〜2週間ほど「蒸し焼き」にして作られます。
日本での木炭の製造は、約10,000年以前の旧石器時代に始まり、薪(まき)と同じく、電気やガスが普及する以前の生活必需品でした。
現在では、七輪や火鉢、バーベキューでの”嗜好品”として主に利用されています。
薪(まき)との違いは、薪(まき)は「乾燥」によって作るのに対し、木炭はこの「焼き」の技術が入る製造方法の違いによって区別することができます。
「薪(まき)」と比べて、「木炭」には以下の性質があります。
① 燃やしても炎や煙が出ない
② 火が消にくく扱いやすい
③ 火力が安定して長い時間燃焼する
④ 空気によって温度を調整できる
これら木炭の性能は「蒸し焼き」によって付与されます。
「蒸し焼き」とは、木が炎を立てず、ギリギリ消えない程度に空気 (酸素) を与えて燃焼させる状態のことです。
これにより、燃やした際に炎を上げる原因となるガス成分が、時間をかけてじっくり抜けていきます。
また同時に、小さな穴が無数に空いた「多孔質構造」となり、七輪などで燃やした際に、これらの穴に酸素がバランスよく取り込まれることで、安定した火力を得ることができます。
この状態をうまく作り出すのが「蒸し焼き」の技術で、一人前の炭焼き師になるには10年かかるとされています。
木炭の製造方法とその歴史とは!?
この蒸し焼きの方法には、「伏せ焼き法」と「築窯法」の2種類があります。
「伏せ焼き法」は、窯を使わずに木炭を作る古来の方法で、穴を掘り、その中で木材を燃やし、土をかけて数ヶ月間蒸し焼き状態にします。
一方で、現在の一般的な方法として行われる「築窯法」は、炭窯を用いて作られる蒸し焼き方法です。
この技術の開発により、質の高い炭を作ることができるようになったとされています。
「築窯法」による炭窯は”土”と”石からできており、土は有機物が少ないものが好ましく、粘土や赤土が適しています。
1000年以上の歴史の中で「築窯法」は地域特有のそれぞれの技術があり、その地域にあった樹種、土、石で炭づくりが行われていきました。
炭窯の形には、中国型やインド型があり、日本は排煙口が窯の奥にある中国型に含まれます。
このことから木炭作りの技術や文化は、大陸から伝わったものと考えられています。
木炭の作り方とその種類とは!?
木炭には「黒炭」と「白炭」があります。
一般的に広く普及しているのは「黒炭」で、「白炭」は備長炭が有名です。
これら木炭の違いは、製法で区別されます。
「黒炭」は、蒸し焼きをした直後に炭窯から出さず、酸素の供給を断ち切って火を消してゆく製法です。
これにより、徐々にゆっくりと冷やされ、炭窯が冷え切ってから木炭が取り出されます。
この製法によって作られた「黒炭」は、「白炭」に比べて火力は落ちますが、着火温度が低いため、火をつけやすいという特徴があります。
また、完成度が高い黒炭は、切り口が”菊の花”のような模様をしているため「菊炭」と呼ばれます。
一方で「白炭」は、蒸し焼き後、炭窯の口を少しずつ開けて空気を取り込み、木炭をさらに燃焼させます。
そして、1200℃ほどの高温の中から燃えている木炭を取り出し、水分を含んだ土と灰の混ざった”消し粉をかけて一気に消化させます。
この製法によって作られた木炭は、この”消し粉によって白くなり「白炭」なります。
「白炭」は、着火温度が高いですが、火力が強く火持ちし、叩くと金属音が出るのが特徴です。
備長炭が「白炭」の中でも高級品とされており、ウバメガシから作られた和歌山県産が有名です。
カシ類は、密度が高く硬い木であるため、質の高い白炭となるのです。
「備長炭」の名前の由来は、紀伊国田辺の商人「備中屋長左衛門」が、ウバメガシを材料につ作り販売を始めたことから、その名をとって呼ばれるようになったとされています。
バーベキューの必需品!木炭の効果とは!?
木炭は「近赤外線」と「遠赤外線」の、2種類の赤外線を出すことで知られています。
近赤外線は”波長が短く”、遠赤外線は”波長が長い”赤外線です。
「遠赤外線」はエネルギーが低く、物質の内部まで透過するため、体の内部からポカポカと温まるのはこの遠赤外線の効果によるものです。
サウナで、木炭が用いられるのもこの性能によるところです。
一方で「近赤外線」は、波長が短く、エネルギーの高い赤外線です。
そのため、物質の内部まで浸透せずに、たとえば肉を焼くことで表面に焦げ目を付け、中の旨み成分などが外に逃げるのに役立ちます。
また「遠赤外線」の持っている加熱効果によって、肉を中から温め、たんぱく質を分解し、同様に旨み成分であるグルタミン酸を生成します。
これにより、炭火で焼いた魚や肉が美味しく感じられるのです。
この効果の他にも、木炭は室内の”調湿機能”や”消臭”、”有害化学物質を吸収する”性質があります。
木炭は多孔質構造で、1gあたり200〜300㎥の広い表面積を持っており、この無数の微細な穴で水分や物質の吸着機能を生み出しています。
最後に – 伝統的な炭焼き風景
このように木炭は、木を「焼き」技術によって加工されることで、薪(まき)にはない性能を持っています。
また、作り方は地域によってさまざまであり、これにより種類があり、また歴史も長いです。
最後に、伝統的な炭焼き風景の動画が上がっていましたので、こちらも参考にしていただけますと幸いです。
以上が、”バーベキューの必需品「木炭」の作り方とは!?木炭の種類と効果を紹介!”の記事になります。
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