ブナ科クリ属のクリは落ちた実を小石に例えて、小石を意味する古語「くり」が語源です。
ブナ科コナラ属のクヌギやアベマキと良く似ていますが、イガグリがない場合でも、皮や樹皮で見分けがつきます。(葉は鋸歯の先が太く、葉脈がきめ細かい方がクリの木)
クリの紅葉の見頃は11月中旬から下旬にかけてです。
秋になるとクリは大きくなった「イガ」が緑から茶色に色づき始め、やがて、ばっくり割れて中から果実が顔を覗かせます。
それを合図に葉も黄色や黄褐色に色づいていきます。
葉は地上に落ちた後は褐色となります。林床を覆い尽くす褐色の絨毯も魅力の一つですね。
葉が色付く理由については ”紅葉はなぜ赤色なのか?もみじ狩りの由来と魅力を解説!” で紹介しております。
「クリ」の木材としての歴史を紹介!
クリは木材としては腐りにくく、建造物の土台として使われます。
クリは水に強く、耐久性や保存性があります。また防虫性もあり、工芸品では、強い木目を生かした拭き漆仕上げがよく似合います。
明治になり、鉄道が整備されていく際、鉄路を固定するための枕木としてクリが使われました。
林資源は明治政府にとって、外貨獲得の切り札でした。今は木材輸入国ですが、戦前まで日本はミズナラを中心にした木材輸入国だったのです。
それを枕木として土台で支えていたのがクリ材です。
縄文時代から始まる秋の味覚「クリ」の歴史と特徴を紹介!
クリは木材としても優秀ですが、実は生でも食べれる優秀な食材です。
クリはかつて、勝利を導く縁担ぎとして、出陣や勝利の祝いの席には「勝栗」を備えて食べられていました。
さらに縄文時代まで溯ると、1万年もの長きに渡り、クリの実は生活の糧だったのです。
縄文人の人たちは、クリを中心に、ドングリやトチの実をあく抜き加工して食べていました。
これは、クリの実に「タンニン」が含まれていないためです。(木や渋皮にはタンニンが多く含まれており、クリの木の耐久性の向上に貢献している)
しかし、他の虫や動物に食べられない理由は(人間は食べますが)、イガで身を守り、硬く渋い皮で身を守っているためです。
このように、木材や食材として重宝されていたクリは、集落周辺に数多く植えられていました。
「クリ」の変わった成長方法とは!?
クリは少し変わった成長をします。
他の木が葉を伸ばす前の晩秋から初夏にかけて花を咲かせ花粉を飛ばします。これは他の木の葉が、花粉散布の障害になるからと言われています。
また、クリは他家受粉です。(詳しくは ”植物に「性別」はあるのか!?そのメリットを解説!” で紹介しています。)
雄花が咲いた後に雌花が開花し、他のクリの花粉をつけた虫が、花粉と蜜をつけた雄花に来るのを待っています。
世界のクリを紹介!
チュウゴクグリ
天津甘栗として日本でも食べられています。日本のクリと比べ実は小さい。最大の特徴は、渋皮がつるりとむけることです。最近ではこの性質を取り入れた日本栗「ポタロン」が開発された。
ヨーロッパグリ
「マロン」と呼ばれる。淡い茶色の実が特徴。マロングラッセやモンブランとしてよく食べられている。ローマの戦士は戦闘に行く前に「マロン粥」を支給されたという。
アメリカグリ
「大きな栗の木の下で」はアメリカグリが大木になることを歌っています。実は大きく甘みが強い。20世紀の初期に「桐枯病」が流行し大量に枯れた。現在では絶滅危惧種です。
日本のクリは一度絶滅しかけた!?
クリの栽培は、国産品種で最も有名な「丹波栗」の特産地である京都丹波地方で始まりました。栽培種と区別すると、野生種はシバグリやヤマグリと呼ばれています。
しかし、1941年の中国の外来種クリタマバチの発生により、クリは一度絶滅しかけました。
クリタマバチは、クリの新芽に産卵し、虫こぶを作ります。そのため、新芽が伸長できず、花も咲かず、枝葉も展開しないので、クリはやがて枯れていきます。
そこで、クリタマバチの天敵を導入しました。それが「チュウゴクオナガバチ」です。
「チュウゴクオオナガバチ」はみるみる成果を上げ、現在ではクリタマバチの猛威はひと段落したと言われています。
以上が「秋の味覚 ”クリ” の紅葉の魅力と歴史を紹介!」の解説になります。最後まで読んで頂きありがとうございます。
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