春になると、色とりどりの鮮やかな花が、あたり一面に咲き誇ります。
深い紫色が特徴的な”スミレ”や、見つけると幸運とされる、4枚葉の”シロツメクサ”(別名:クローバー)といった春を代表する花々が、山や道端を彩っていますね。
その中でも”春の代名詞”と言えば、やはり春の”桜”です。
春を象徴し、日常の景観がより一層鮮やかに見え、特別なものに感じます。
しかし”桜”だけでなく、春を彩る草花は、そのほかにも数多くあります。
たとえば”タンポポ”は、身近なところで見られる草花で、春の爽やかな日差しに照らされている情景は春の風物詩です。
暖かい風に揺られ、”タンポポ”は穏やかな春を漂わせています。
”タンポポ”は、”書”や”絵”を描くときの”タンポ”に似ていることから由来となったように、古来より人々の生活に身近なものでありました。
そのためタンポポは古くより日本に存在する、”在来種”です。
しかし、ここ数十年の間に”外来種”が増加し、”在来種”が減少している現状があります。
この”遺伝子汚染”により、日本のタンポポの存続が危ぶまれています。
本記事では、このように春を彩る「タンポポ」の”特徴”や”外来種の脅威”を紹介していきます。
最後まで、お付き合い頂けると幸いです。
タンポポの”花言葉”を紹介!
まず始めに、タンポポの”花言葉”について紹介します。
タンポポと言えば、子供ころに花びらを摘んで、”恋占い”をした方も多いのではないでしょうか。
また、その花弁の数も多く”不規則”であることから、その信憑性も高いように感じていました。
そのことからも、花言葉は『愛の信託』となっています。
『愛の信託』と呼ばれる由縁は、古くからヨーロッパにおいて”タンポポ”の花びらで恋占いをしていたことから由来しています。
このように日本以外の全世界でも、恋占いとしてタンポポは、人々にとって親しみやすい身近な存在でありました。
タンポポの”名前の由来”を紹介!
次に、タンポポの”名前の由来”について紹介します。
まず、タンポポの名前はどこから由来しているのか、ご存知でしょうか?
タンポポは、古くから身近な存在であったために名前の由来には諸説あります。
有名な説では、花が咲いている状態が、”書”や”絵”を墨で複写する時の描くときに用いる”タンポ”に似ているとされています。
”タンポ”とは、版画などでお馴染みの”綿球”であり、これが転訛して「タンポ穂」となったとされています。
タンポポの”特徴”とは!?
続いて、タンポポの”特徴”について紹介していきます。
タンポポと言えば、黄色い花びらが印象的で”頭花”と呼ばれる、多数の花から構成されています。
そして春の終わりに近づくと、花茎(かけい)はしぼんでいき、タネを作るための準備期間へと入っていきます。
その種子(痩果)は、タンポポの種類によって作られる個数が変わってきます。
多い種類では200個、少ない種類であると60個ほどになっており、1個の頭花からこれほど多くの種子が作られます。
そして再び立ち上がってくる頃には、白い綿帽子となって風に身を任せ、各地に飛んでいきます。
タンポポが白い綿となった状態を”綿帽子”や”綿毛”、”冠毛”と様々な呼び方があります。
タンポポの”薬用効果”とは!?
タンポポは”薬用”としての効果があり、外来種も在来種も同様に用いられています。
また日本だけでなく、ヨーロッパにも”健胃薬”として使われる薬草です。
その他の薬効としては”解熱”や”利尿作用”、”胆汁分泌”を促進させる効果があり、多種多様な目的を持った薬草として、古くから用いられています。
以下に、タンポポを薬草へ”加工する手順”をまとめます。
1. 開花前状態のタンポポを根ごと掘り起こし、よく水洗いする。
2. 長さを2〜3ミリメートルに刻む。
3. 天日干し、生薬の状態にする。
4. さらに刻む。
5. 約10gを600ccの水と一緒に、弱火で煮詰める。
6. 水が半量になるまで煮詰めると、健胃薬の完成。
以上が、タンポポを用いた薬の作り方になります。
これを食後に3回に分け、服用していくと”食欲不振”や”胃の不調”に効果的です。
ただ、食前にも服用することがあるそうです。
タンポポの”外来種の脅威”とは!?
タンポポは、キク科タンポポ属の”総称”です。
日本には、約20種類の”在来タンポポ”と、2種類の”外来タンポポ”が生育しています。
世界では、分類方法によっては100種類あるとされ、タンポポは非常に品種が多いです。
このように世界でもたくさんの品種がありますが、日本では外来種が来たことで在来種がここ数十年で激減してきています。
その理由としては、外来種による”在来種の遺伝子汚染”です。
実際に、起こっている現状を紹介していきます。
外来種で有名な品種は、”セイヨウタンポポ”です。
一度は聞いたことがある方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
”セイヨウタンポポ”は、花柄が天井に向かって沿り返っていることで見分けることができます。
また、ヨーロッパ原産の帰化植物であり、明治時代に日本へ入ってきました。
その後、戦後の高度経済成長期に生じた広大な更地に根付いていき、全国へと生息地を伸ばしています。
この”セイヨウタンポポ”の優れた繁殖力の背景には、独自の種子の作り方が関係しています。
それは、単体で種子を作ることができるためです (自家受粉)。
たくさんの種子を小さく作ることで、風に飛ばされやすくなり、繁殖が容易となっています。
このような強力な繁殖力により、1本あればどの地域でも根付くことができる外来種が”セイヨウタンポポ”です。
一方、”ニホンタンポポ”のような在来種は、受粉を行うために”他の株”から花粉を飛ばしてもらう必要があります。
実を結んで子孫を増やすため、同じ仲間と群状しなければなりません。
そのため、他の植物が数多く生息している地域に咲くことが多いです。
このように、生存していくために”外来種とは異なる方法”をとっています。
また先に述べたように、”ニホンタンポポ”は少量の種子であり、繁殖力を高めるために種子を大きくする必要がありました。
そのため”セイヨウタンポポ”と比べ、地域に根付いた後に、種子が枯死しません。
しかしながら、ニホンタンポポは花粉を飛ばすため、セイヨウタンポポが自家受粉する際に花粉が混入してしまい、遺伝子汚染の問題が生じています。
このことから、純粋の在来種の数が少なくなり、外来種と交配した”新たな雑種”が生まれる現象が起きています。
最後に -日本の在来種の存続-
琵琶湖では、外来種のブラックバスが増えて、ニジマスといった在来種の生態系が汚染されています。
このように、日本固有の在来種の数が少なくなっている現状は、日本人としては看過できない問題です。
また、タンポポは古くより日本に存在する”在来種”です。
そのため、タンポポが咲き誇っている”里山の原風景”が、外来種によって犯されてしまうのではないかという危機感を覚えます。
しかしながら現在、世界に生息するありとあらゆる植物は、古来よりさまざまな品種との交配によって数を増やし、進化し、繁栄してきました。
これは、生息域の環境に適応した結果であり、その現象がタンポポにも見られただけのことなのです。
普段何気なく見てきた里山のタンポポですが、このように環境に適応するための”生命のドラマ”が巻き起こっています。
里山でタンポポを見かけた際は、本記事を参考に、ぜひ観察してみてください。
以上が「春の代名詞”タンポポ”の特徴を紹介!外来種による遺伝子汚染の問題とは!?」になります。
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