森林経営計画とは「森林所有者」または森林の経営委託を受けた「林業会社」が、まとまりのある森林の5年を1期とする森林整備計画です。
森林経営計画を策定することで作業費用を抑え、補助金を利用できるため、森林所有者の収益が高くなります。
また、森林経営計画を作成するには一定以上の森林面積が必要となります。
森林面積や林班界・区域界に応じて「林班計画」「区域計画」「属人計画」の3種類があります。
林班計画→区域計画→属人計画と順に面積規模は大きくなりますが、所有林はこれら3種類どれかの計画にカバーされるようになっています。(以下の記事参照)
森林経営計画を立てるとお得になる!所得税や相続税の控除額を紹介!
本記事では、森林経営計画を作成することで控除される所得税や相続税を紹介します。
森林経営計画は補助金のみならず、所得税や相続税の一部が控除されます。
また、森林経営計画の対象森林から伐採・生産された木材は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が適応されます。
所得税の特別控除
※「所得税」や「山林所得」「譲渡所得」については、以下の記事をご参照ください。
(1) 山林所得の「森林計画特別控除額」
森林経営計画に基づいて森林を伐採または譲渡した場合、伐採搬出などの必要経費を控除した額が山林所得(収入金額)となります。
その山林所得の20%に相当する金額(収入金額が3,000万円を超える部分については10%)を森林計画特別控除額として控除することができます。
(2) 山林売却による所得税控除額
山林保有の合理化のために山林を売却し、その土地の取得者が有する山林の全てについて森林経営計画の認定を受けた場合、売却者の山林所得から800万円を控除することができます。
例えば「属人計画」をAさんが計画する場合を考えます。
「今度、森林経営計画を立てて一帯を効率的に森林整備したいのだが、Bさんの森林を200万円で売ってくれない?」
というような状況です。
森林経営計画を作成する場合であると800万円まで控除されるので、この場合の所得税はかかりません。
このようなケースもあるので所有林を売却すべきか、森林整備によって収益を得るべきかを考える必要があります。
相続税の特別控除
※「相続税」については、以下の記事をご参照ください。
(1) 固定資産税評価額の減額
相続または遺贈を受けた計画対象森林について、引き続き森林経営計画に基づき森林整備を継続した場合で、一定の要件を満たす時「固定資産税評価額」は5%減額されます。
この「固定資産税評価額」は山林評価額の70%を目安として定められています。
現在所有している大体の「固定資産税評価額」の調べ方は、以下の記事で紹介していますので、ご興味がある方はぜひどうぞ。
※「固定資産税評価額」は、山林がどんな場所にあるか(近郊または山奥)、面積や形状はどうか、道路がどのように接しているかによって変わります。
※「固定資産税評価額」は、山林がある市町村役場で「山林の固定資産税評価証明書」を交付してもらうことでも分かります。(以下の記事参照)
(2) 相続税の延納特例
森林経営計画区域内の立木の価額が、相続財産価額の20%以上の場合を考えます。
※山林には「土地価格」と「立木価格」があります。(以下の記事参照)
立木の価額に対応する部分の税額は分納(不均等納付)でき、利子税率が軽減されます。
さらに、相続する山林内の不動産等の占める割合が50%以上の場合、延納期間は20年(市町村森林整備計画で複層林施業または長伐期施業を推進すべき森林として定められている山林は40年)とすることができます。
(3) 相続税の納税猶予制度
「森林経営の規模拡大等の目標」を記載した森林経営計画(属人計画に限る)の山林を、相続人が全て一括して取得し、引き続き計画に基づいて経営を継続する場合には、課税価格の80%に相当する相続税の納税が猶予されます。
また、相続人が死亡した場合には、猶予されている相続税の納税が免除されます。
※相続税の納税猶予の適用を受けようとする場合、必要書類(以下の記事参照)や森林経営計画書の記載事項が異なりますので、都道府県出先機関などに事前にご相談下さい。
再生可能エネルギーの固定価格買取制度
森林経営計画の対象森林から伐採、生産された木材は、「一般木質バイオマス」及び「建設資材廃棄物」と比べ、高い調達価格32円/kwh(税抜き価格)が適用されます。
最後に -今後のWoodyニュース-
お疲れ様でした。
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