電気やガスが普及する以前、”薪(まき)”は燃料として人々の生活に必要不可欠でした。

 薪(まき)というのは、太めの木を割り、適度に乾燥させたものです。

 昔は現代のようにチェンソーはなく、全て手作業で、風呂焚きや窯(かま)焼きに使われていました。

 また「おじいさんは山へ柴(しば)刈りに、、、」という有名な導入からも、薪(まき)の他にも”柴(しば)”が燃料として活躍していた時代でした。

 柴(しば)は、枝やツツジなどの細い木を集めてしばったものを指し、枝が細い分、乾燥も比較的カンタンです。

 現代では、これら燃料はキャンプや暖炉など、”嗜好品”としての利用が主になっています。

 本記事では、キャンプのシチュエーションに応じた薪(まき)の選び方と、種類による燃え方の違いをご紹介していきます。

 最後まで、お付き合い頂けますと幸いです。

キャンプに適した良い”薪(まき)”の選び方。

 木には、数多くの種類があります。

 そしてこれら大別すると、針葉樹と広葉樹に分けることができます。(以下の記事参照)

 木の種類によって燃えやすいものや燃えにくいが長持ちするもの、良い香りがするものなど、その種類によってキャンプのシチュエーションに適した薪(まき)があります。

 油分を多く含んだ薪(まき)は、着火しやすく火力も強いですが、火力調節や燃焼時間が短いなどの面を持ち合わせています。

火起こしには”スギ・ヒノキ・マツ”の針葉樹を!

 キャンプ序盤の火おこしには、細く小さなものから始めていきます。

 そして、次第に長く太い薪(まき)へ移行していくことが重要です。

 針葉樹は、英語名で「Soft Wood」と呼ばれることからも、比較的密度が小さく、着火に必要な空気を取り込める細孔があるため、火が付きやすいです。

 さらにこれに適度な油分を含むため、着火時の焚つけ用に非常に適しています。

 また、密度が小さいことから薪(まき)割りがしやすく、持ち運びの際も軽いというメリットがあります。

杉(スギ)

 着火しやすく勢いよく燃えるため、序盤の焚きつけに最適です。

 しかしながら燃焼時間は短いので、ナラなどの広葉樹と混ぜると良いでしょう。

 他の薪(まき)が用意できなかった場合は、火にくべる量や長さなどを調節して、少しづつ使うといいです。

檜(ヒノキ)

 針葉樹の中では、燃焼時間は長いです。

 着火性もあるため、初心者の方でも扱いやすい薪(まき)の種類になります。

 また燃えた後の灰が少なく、後片付けも非常にカンタンにできます。

 しかしながら、太いものは着火性が少し悪いため、太さを選びながら調整していきましょう。

松(マツ)

 油分が多いため、火力が非常に強いです。

 そのため、火力調整がむずかしい薪(まき)になります。

 焚き火には適していますが、料理をする場合には投入する量とタイミングが重要です。

 また、油分が多いため煙が多く出ます。

 そのため、薪ストーブなどで煙を少なく抑え、高温を出したい場合には非常に適しています。

キャンプの中盤からは火持ちする”広葉樹”を!

 広葉樹は密度の高い木が多く、そのため火持ちします。

 針葉樹は火力が強いですが、比較的すぐに燃え尽きてしまうため、薪ストーブや風呂焚きの場合は、火もちを重視して広葉樹が用いられます。

 このため、薪(まき)が生活必需品であった昔は、雑木林に多くの広葉樹が管理されていました。(以下の記事参照)

 しかしながら、広葉樹は火が着火しにくいのが特徴的です。

 そのため、針葉樹などで火付けを行ってから、徐々に移行していくことがポイントになります。

楢(ナラ)

 ナラは広葉樹の中でも、燃焼時間が長いです。

 そのため一度火が着くと、そのあとはゆっくりと薪(まき)を継ぎ足していけば良いので、非常に楽です。

 また、日本各地ので入手しやすく、数多くで回っていることからもコストパフォーマンスに優れています。

 そのため、薪ストーブや暖炉で使用されることが多い、人気の広葉樹です。

櫟(クヌギ)

 ナラと同様に火持ちが良く、薪(まき)の中でも最高級品とされています。

 また、燃えた後の灰が少なく、後片付けも楽チンです。

 他の薪(まき)と比べると、乾燥時間が短いのも特徴の一つです。

樫(カシ)

「薪の王様」と呼ばれるほど、火持ち・火力とも素晴らしいです。

 カシの密度は非常に高く、かなり長い時間燃え続けます。

 そのため、薪の消費も抑えられ、ゆっくりキャンプを楽しむことができます。

 おき火も長く続くため、薪の消費も抑えられます。

欅(ケヤキ)

 京都の清水寺など、その硬さと耐久力、光沢から、神社仏閣から高級家具までさまざまなに利用されるケヤキですが、火持ち時間はナラには劣ってしまいます。

 しかしながら、おき火を作るのにちょうど良い性能で、ピザや焼き芋などを作るのに適しています。

桜(サクラ)

 燻製に用いられる”桜チップ”など、ほのかな香りが人気です。

 火持ちや火力は、他の広葉樹には劣りますが、おき火にすることで安定して料理を楽しむことが出来ます。

針葉樹と広葉樹の燃え方の違いとは!?

 1カロリーは、1gの水を1℃上昇させる事ができるエネルギーです。

 スギやヒノキは1kgあたり約5,500キロカロリー、ナラやクヌギでは約4,800キロカロリーとなっています。

※参考に、石油は1Lで熱量は約9,000キロカロリーです。

 昔からよく薪(まき)として利用されていたのは、4,800キロカロリーと熱量の小さい広葉樹です。

 これは上述のように、火持ちが良い点や、雑木林での伐採後の再生が早いなどの理由があります。

 針葉樹は火力が強いですが、油分が多いため一気に燃え上がります。

 そのため、風呂焚きや窯(かま)焼きには少し不向きでした。

含水率によって異なる”良い薪(まき)”の選び方。

 木の中には多くの水が含まれています。

 この水が含まれる割合を「含水率」と呼びます。

 たとえば薪(まき)”2kg”の中に、水が”1kg”含まれている場合、含水率は”50%”となります。

 このように含水率が大きい薪(まき)は、燃える際に水が蒸発するため、熱量は大きく低下してしまいます。

 たとえば、含水率0%の薪(まき)の熱量は4,800キロカロリーに対し、含水率50%の薪(まき)の熱量は2,700キロカロリーとなります。

 このように薪(まき)が乾燥していないだけで、熱量は半分になることがあります。

 薪(まき)は、自然乾燥では含水率は10%〜20%で安定します。(1年〜2年程度)

 理想的な薪(まき)の含水率は20%であり、乾燥している薪(まき)は、年輪に対して縦にヒビが入っています。

 薪(まき)を購入される際は、これらのポイントをチェックしてみてください。

最後に – 火起こしはキャンプの肝!

 キャンプにおいて、火起こしは重要な工程です。

 一度火が着くと、キャンプ感が一気に高まります。

 そして火起こしは、初めは針葉樹で熱量を上げ、徐々に火持ちのよい広葉樹へ移行していくのが理想的でした。

 薪(まき)の種類と特性を理解して、シチュエーションに応じた楽しいキャンプをぜひ行ってみて下さい。

 以上が「キャンプに適した良い”薪(まき)”の選び方。種類によって燃え方が違う!?」の記事になります。

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