「自分の所有林を息子に相続したい」

「父名義の所有林を自分名義に変更したい」

 とお考えの方に、所有林(不動産)の名義変更の手順や方法をご紹介いたします。

※本記事は名義人が父の場合を想定しています。

 名義変更では、戸籍や所有林(不動産)に関する書類を集め相続人の間で遺産分割協議を行い、法務局へ登記(名義)申請を行います。

 これを「相続登記」と言います。

 また、山林の場所や境界線が不明であっても、登記情報が把握できる山林であれば、名義変更は可能です。(以下の記事参照)

※相続や贈与であれば特に問題になりませんが、他人への贈与や売却の場合は測量の実施や適切な特約などの対処が必要となります。

個人で所有林(不動産)の遺産相続や生前贈与を行う手順・方法を紹介!

 一般的に生前贈与の方が、相続税の節税対策が可能となっています。

 年間の贈与額が110万円以下であれば贈与税が課税されません。

 そのため、110万円以下に分けて贈与をおこなうことで、贈与税が課税されずに相続税の課税対象となる財産を減らすことができます。

※実際に負担する相続税額については、税理士に見積りを依頼する必要があります。

 本記事では、個人で相続をする際の手順と必要書類をまとめて紹介いたします。

 個人で必要書類をまとめて手続きすることで、手続きにかかる費用を抑えることが出来ます。

 また手順や必要書類を知っておくことで、実際に専門家に依頼する場合でも、手続きをスムーズに行うことが出来ます。

父と相続人の戸籍

 それでは、名義変更の手順や方法をご紹介していきます。

 まず、父の戸籍(除籍)を役場で取得してください。これは謄本や全部事項証明書と呼ばれるものです。

 相続人が他にいないことを確認するために、出生時まで遡って取得します。

 役場に「遡って取れるだけ全部交付してください」と言えば、何通に分けて請求しなくても一度の請求で済みます。

 途中で本籍地が変わっている場合は、以前の本籍地の役場へ同じように請求・取得して下さい。

 同時に相続人全員の戸籍も取得しておくと、再度役場へ行かなくて済むのでお薦めです。

所有林の登記情報

 森林の所有者が父になっているかの確認を行います。

「登記事項証明書」でもいいのですが、ここでは所有者の確認が目的なので「登記情報」の取得をお薦めします。

「登記情報」はインターネットで取得でき、1通(一筆)335円なので「登記事項証明書」よりも簡単に安く取得でお薦めです。

 以下に「登記情報」を取得できる法務局ホームページを紹介しています。

山林の固定資産税評価証明書

「山林の固定資産税評価証明書」は、登記に課せられる税金を算出する際に必要となります。

 所有林(不動産)所在地の市町村役場で交付してもらえます。

 また「山林の固定資産税評価証明書」に、父と相続人の関係を示す戸籍を添付する必要があります。

 どこにどんな所有林(不動産)があるか分からない場合はまず、過去の本籍地や住所があった市町村全てに名寄帳(その市町村内に所有する不動産の一覧)の交付を請求すると良いです。

 なお、固定資産税が非課税の土地(保安林やため池、私道)については「固定資産税評価証明書」が発行されません。

 しかし、登記の際にこの非課税の土地の税金も納める必要があり、確認する必要があります。

 非課税の土地については各市町村によって扱いが異なりますので、まずは市町村役場の税務課に確認すると良いです。詳細については電話でも教えていただけます。

遺産分割協議書

遺産分割協議書の書式例

 相続人すべてで協議した内容をまとめた後に内容を書面に記載し、全員が実印を押したものが「遺産分割協議書」になります。

 例えば「○○の山林は○○が取得する」といった内容です。

 所有林に関する記載は、先程インターネットで取得した「登記情報」に記載されている通りに記入していくと良いです。(地番や面積など)

印鑑証明書

 先程の「遺産分割協議書」に記載された、相続人全員の印鑑証明が必要です。

父と相続人の住民票

 本籍が記載された住民票(除票)です。

 登記簿に記載されている過去の住民票から現在の住所に至るまで、全ての繋がりが分かるだけの住民票(除票)や、戸籍の除附票が必要になります。

 また、不動産を取得する本人の住民票も必要となります。

法務局へ申請

登記原因証明書の例

 ここまで揃えば、次はいよいよ登記(名義)登録です。

「登記申請書」や「登記原因証明書」などを用意し、法務局へ申請。

 不備がなければ、登記完了です。

 以下、法務局サイトです。「登記申請書」がダウンロードできます。

 また森林法に基づき、所有者となった(相続発生時)から90日以内に「森林の土地の所有者届出書」を市町村役場に提出する必要があります。

最後に –どの専門家に依頼すれば良いのか!?

 本記事では、一通りの相続をする際の手順と必要書類をまとめて紹介しましたが、これらの書類を個人で準備することで、手続きにかかる費用が抑えることができます。

 私の場合は、税理士に相続にかかる税金についてまとめて算出してもらった上で、行政書士を紹介してもらい、必要書類を準備し申請手続きを行なってもらいました。

 個人的にはこの方法が一番手前がかからず、行政書士の方に難しい法的手続きを任せることが出来ます。

 一般的に相続税の算出後に税理士の方が、続く行政書士の方を紹介する場合が多いようです。

 また税理士の中でも、相続税の分野に詳しい方を選ぶとスムーズに手続きが進むのでお薦めです。

 相続人が定まっている場合は、行政書士の方でも手続きはスムーズに進むようですが、相続人が複数人に渡り、遺産トラブルになる場合は司法書士に依頼し、さらに複雑な場合は弁護士に依頼するケースが多いです。

「行政書士」「司法書士」「弁護士」と順を追う毎に依頼金額は高くなるので、各家庭の相続状況に応じて、適した専門家の方にご相談されると良いです。

税理士に払う報酬は相続・贈与する山林の評価額にもよりますが、5万円~10万円程度、司法書士に払う報酬は約5万円程度の相場です。

 ※山林評価額1,000万円であれば、司法書士の費用は、相続の場合は全国平均で約59,000円(低額側10%は約32,000円)で、贈与の場合は全国平均で約40,000円(低額側10%は約23,000円)です。(日本司法書士会連合会のアンケート結果)
※この費用には「遺産分割協議書」「贈与契約書」等の作成も含まれています。

 また税理士の選び方としては、相続財産の0.5%~1.0%の相場で報酬設定をしている税理士を選ぶことをお薦めします。

 以下のサイトは税理士の大手紹介サイト(税理士ドットコム)で、24時間相談料も無料です。

 相続税についてお悩みの方は、一度税理士の方にご相談されることをお薦めします。

 ※税理士の方が取り扱う内容は主に以下の3点です。

  • 相続税の申告
  • 相続財産の評価
  • 準確定申告の申告

 しかし、実際に相続税が発生する場合は「3,000万円+600万円×法定相続人」の基礎控除を上回る方です。以上の点を留意の上ご検討ください。

 また山林売却をご希望される方は、Woody山林不動産のお問い合わせフォームより、お気軽にご連絡下さい。

 以上が「個人で所有林(不動産)の遺産相続や生前贈与を行う手順・方法を紹介!どの専門家に依頼すれば良いのか!?」になります。

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