「森林伐採は環境破壊だ」というイメージを持たれている方が多いと思われます。
皆さんがご存知の通り、木は光合成により空気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を排出します。
このように樹木は、この生命活動によって唯一、大気中の二酸化炭素量を減らすことができる植物として知られています。
これにより、温室効果ガスを削減することができ、地球温暖化の進行を抑えます。
それでは、なぜ森林を伐採する事が地球温暖化を止める事に繋がるのでしょうか。
そこには、樹木の”呼吸活動”と”樹齢”が関係しています。
本記事では、森林伐採が地球温暖化を抑える理由について解説しています。
また本記事を通して、林業の活動について少しでも知って頂けると幸いです。
森林伐採は二酸化炭素を削減し地球温暖化を止める!?
現在、戦後70年が経ち、日本の森林は先人の努力によって、戦後に造林された人工林を中心に本格的な伐採期を迎えています。
しかし、所有者の高齢化や森林管理者の減少により、日本全体の年間成長量の40%以下しか活用されていないのが現状です。(以下の記事参照)
また管理されていた森林が、次世代の担い手に相続されていく過程で、所有林の境界線の問題や、所有者が不明の森林が明らかとなり、放置されてしまうケースが年々増加しています。(以下の記事参照)
さらには、相続された所有者の方も、すでに地元を離れている場合がほとんどであり、訪れたことのない森林を管理していくことは現実的に不可能に近いです。
というのも、樹木は平均30〜40年にかけて成長していくものであり、初期から中期にかけては小まめな管理が必要となります。(以下の記事参照)
このように、管理する時期を迎えた都度、林業会社と連絡をとり、依頼・計画していくという作業は、どうしても面倒になってしまいます。
そのため現在では、初期に”森林経営計画”を立て、長期にわたって森林管理を林業会社に委託する方法が主流となりつつあります。(以下の記事参照)
また、2019年より”森林経営管理制度”が開始され、森林の管理を所有者の代わりに市町村が行う制度が始まっています。(以下の記事参照)
いずれにしても、森林が環境に与える恩恵は大きく、森林の管理を個人で行う時代から、国や林業会社が一括して管理していく時代へと変わりつつあります。
樹齢によって二酸化炭素排出量が上回る!?
それでは、本題に戻りましょう。
樹木は、昼間は”光合成”により二酸化炭素を吸収し、夜間は”呼吸活動”により二酸化炭素を排出します。
森林が二酸化炭素を吸収する理由は、光合成を行い、それにより得た栄養分によって成長するためです。
そのため、成長が終了した樹木は、ほとんど光合成は行わずに呼吸活動は続くため、二酸化炭素吸収効率は低下し、逆に二酸化炭素の排出量が多くなると言われています。
また以下のデータより、樹齢11〜40年までの若い樹木が二酸化炭素をより多く吸収する事が分かります。
人工林(スギ、ヒノキ、カラマツ)は主に針葉樹から構成されており、人工林が地球温暖化防止のために果たす役割は大きいです。
また”パリ協定”の制定により、日本には2030年度には二酸化炭素排出量を26%削減する目標が課せられています。(2013年度比)
これにより現在、目標達成に向けた早急な地球温暖化対策が求められています。
国土の70%を森林が占めている日本では、その中で森林が担当する二酸化炭素の削減目標も高いです。
そのため、2030年までに年間平均52万ヘクタール(1ha:100m x 100m )の主伐や間伐の実施が必要となります。(愛知県の面積に相当)
最後に -植林→間伐→主伐の森林サイクルを作る-
このように、高齢化した森林を伐採・間伐し、新しく植林する森林サイクルが、地球温暖化の抑制に繋がります。
現在、森林所有者の高齢化、森林管理者の減少により、管理されずに放置・荒廃した森林が多くなっています。
また、次世代の担い手に相続されていく過程で、森林地区画が不明となるケースが多く、私たち林業会社も確認が取れずに手がつけられない場合があります。
そして、これらの問題について、民官が一体となって取り組み始めたばかりであります。
本記事を読んで、ご親族の方に所有されている森林の管理について、一度お話されるキッカケになれば幸いです。
以上が「森林伐採は二酸化炭素を削減し地球温暖化を止める!?」の解説になります。最後まで読んで頂きありがとうございます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
「Woodyニュース」はTwitterやFacebookでも、自然や森林に関する様々なニュースを配信してます。ご興味がある方はフォローして頂けると幸いです。
またこの記事を読んで、少しでも森林や林業について関心を持って頂けると幸いです。