夏に新緑が茂るカラマツは、非常に美しいです。
カラマツは落葉針葉樹であり、日本原産の針葉樹の中では唯一の落葉樹です。
※針葉樹については以下の記事で紹介しております。
カラマツ林の名所としては浅間山麓の軽井沢が有名で、等間隔に並んだ真っ直ぐな幹と、バランスの取れた樹冠が幻想的な風景を作っています。
針葉樹であるため、葉の間から適度に差し込む木漏れ日により、うす緑色のベールを作り出しています。
そのため夏を涼しく感じることができ、避暑地に適した樹木です。
また軽井沢町の「三笠通りのカラマツ並木」は、新日本街路樹100景に選ばれています。(長野県軽井沢町公式ホームページ)
新日本街路樹100景とは、1994年に読売新聞社が、創刊120年を記念に選定した「日本の美しい街路樹100景」です。
各都道府県ごとに10景(計470景)の選出後、その中からさらに100景が厳選されています。(日本百選 都道府県別データベース)
また以前に紹介した「メタセコイア」も同様に「新日本街路樹100景」に選出されています。
本記事では、このように美しい木”カラマツ(落葉松)”の魅力と日本の名所を紹介していきます。
最後まで、お付き合い頂けると幸いです。
紅葉が美しい樹木”カラマツ(落葉松)”の魅力と観光名所を紹介!
新緑のカラマツも美しいですが、秋になり黄色に紅葉したカラマツも底抜けに明るく見応えがあります。
北海道のカラマツ平地林が有名であり、広大に広がるカラマツ林が一斉に紅葉する風景は圧巻です。
北海道・美瑛町「パッチワークの路」では、十勝岳を望む開拓した広大な畑の中に、点在するカラマツ林を見ることができます。
のどかな雰囲気の中に、黄色く色づくカラマツは絵ハガキのような美しさがあり、心が癒されます。
また、美瑛町には「青い池」と呼ばれる幻想的な観光地があります。(本記事の表紙画像)
青色の池と立ち枯れたカラマツのコントラストが印象的です。
ここで撮影された写真が、Macの壁紙に採用されたことで一躍有名になりました。
美瑛町は、その他にも「セブンスターの木」や「ケンとメリーの木」が有名で、観光スポットが非常に多いです。(以下の記事参照)
カラマツは北海道では、最も重要な造林樹の一つであり、民有林におけるカラマツ人工林面積は約32万haです。
これは、原産地である長野県に次いで多い資源を有しています。
また、生産量は160万㎥で、国内シェア7割近くを占めています。
また、長野県では造林面積の50%を占めており「信州プレミアムカラマツ」は信州産の特産品となっています。(木曽官材市売協同組合)
”カラマツ(落葉松)”の名前の由来とは!?
「カラマツ」という和名は、新葉の形が唐絵のマツ、または中国産の五葉のマツに似ていることから「唐松」と名付けられました。
また、カラマツはマツ科の落葉樹であることから「落葉松(らくようしょう)」という別名もあります。
しかし、中国語の「落葉松」は中国産のカラマツに似た別種に付けられた名前であり、正しい用い方ではありません。
尾瀬の木道に用いられるカラマツ材
緑豊かな山々や尾瀬の湿原と共に景観を作る「尾瀬の木道」は、カラマツ材が用いられています。
また、大江湿原に続く尾瀬沼の畔には、3本のカラマツがあり「三本カラマツ」として訪れる観光客に親しまれています。(上画像)
以前は、ナラ材やブナ材が利用されていましたが、酸性の強い湿原では木材の腐食が激しいため、腐食されにくいカラマツが採用されました。
それでも10年に一度は、木道の架け替えが行われ、役目を終えたカラマツはパルプ材として再利用されます。
このようにカラマツ材は、樹脂分が多いことから耐水性が高く、建築材でも特に土台や土木用材、杭木、枕木などに重宝されています。
最後に -落葉後のカラマツ-
照ばかり黄にもみぢたる一本の から松を見て過ぎ行く吾は
斎藤茂吉
カラマツは「マツ」に比べ、寿命が短く30年程度とされています。
またカラマツは、日本原産の針葉樹の中で、唯一の落葉樹です。
晩秋になると落葉し、冬の支度を始めます。(以下の記事参照)
カラマツは夏に栄え、秋に紅葉し、冬に落葉する四季の移ろいがあり、日本の風土に合った樹木です。
しかし、カラマツは一本でも、林になっていても、どこか寂しさを感じる樹木です。
また、バランスの取れた樹形は、どこか北欧的な面影を感じさせます。
このようにカラマツは「盛者必衰の理をあらわす」樹木であると言えるでしょう。
本記事を読んで、カラマツに興味を持っていただけると幸いです。
※また近年カラマツ材が注目を集めています。その理由については以下の記事で紹介しています。
以上が「紅葉が美しい樹木”カラマツ(落葉松)”の魅力と観光名所を紹介!」になります。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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※本記事は「有用草木博物辞典」を参考に執筆しております。