ウメが咲き、サクラのつぼみが膨らむ頃、春の花木は競うように次々に開花していきます。

 普段は目立たない庭先の低木も、この時期ばかりは主役となり庭先を彩ります。

 常緑樹は花と一緒に葉を観察できますが、落葉樹は葉に先立って花を付けるものが多いです。

 そのため落葉樹は花が散ってしまうと、これといった特徴が無くなってしまう花木でもあります。

 またウメサクラハナモモカイドウなどのバラ科の花木は、花が似ており、その見分け方のポイントを押さえておく必要があります。

 本記事では、春の花木”バラ科”の特徴を紹介し、ウメ・ボケ・ハナモモ・カイドウを見分ける方法について解説していきます。

 最後まで、お付き合い頂けると幸いです。

春の花木”バラ科”の特徴を紹介!ウメ・ボケ・ハナモモ・カイドウを見分ける方法とは!?

 ウメとハナモモは、園芸品種も多く花だけではほとんど見分けるのが難しいです。

 そのため、ウメの葉は卵形でありますが、ハナモモは細長い葉を持つなど、花以外の部分から見分ける方法があります。

 カイドウは、中国では美人の形容にも使われる可憐な花で、花柄が長くピンクの花を下向きに付けます

 かつては、カイドウの花の名前は「ミカイドウ」を指していましたが、現在は「ハナカイドウ」のことを言います。

 また、ボケの名前は「木瓜(モケ,モックガ)」から由来しています。

 以下より、各バラ科の花木「ウメ・ボケ・ハナモモ・カイドウ」の見分ける方法を紹介していきます。

”ウメ(梅)” – 花見の原型となった春の代名詞

 ”ウメ(梅)”は、バラ科の落葉小高木であり、中国が原産です。

 奈良時代 (710-794年)は、遣唐使を中国に派遣し「仏教文化」や「律令制」など、中国の文化を積極的に取り入れていた時代です。

 この時代背景の中で、中国より梅が日本に渡来してきました。

 梅の良い香りは、貴族の間で珍重され、桜よりも人気がありました

 そのため、794年の平安京の遷都では、紫宮殿の前庭には「梅」が植えられています

 この梅の人気は「万葉集」で詠まれた梅の数からも伺え、桜を詠んだ歌は43首に対し、梅を詠んだ歌は110首であります。

 こうして貴族を中心に、梅を見ながら歌を詠む会が開かれていました。

 これが、現在の花見の原型であると言われています。(以下の記事参照)

 その他にも、ウメは果実を食用とする他、庭木盆栽用としても植えられています。

 見分けるポイント

  • 若枝は緑色
  • よく剪定されているため、幹や枝は直線的に曲がる
  • 葉は卵形で鋸歯があり葉先が細長く尖る
  • 例年2月〜4月頃に開花。
  • 花弁は5枚で、花色は白色または紅色
  • 八重咲き種もある。
  • 果実は梅雨の頃に黄緑色に熟す。

 また「いなべ梅林」では、東海エリア最大級の100種類4,000本以上の梅が咲き乱れます。

 広大な鈴鹿山脈とウメの花とのコントラストも魅力の一つです。

いなべ花まつり」期間中は花苗・花木の販売もあります。

 例年3月7日〜8日に「うまいもん市」も開催されています。

 サクラの開花前に、一足早く春の訪れを堪能したい方は「いなべ梅林」がオススメです。

 詳細情報

  • 住所:三重県いなべ市藤原町鼎717番地
  • TEL:0594-46-8377(いなべ市農業公園)
  • 入園料:500円(梅まつり開催期間中)
  • 開園時間:08:30~16:00
  • 例年の見頃:4月上旬~4月中旬頃
  • アクセス(電車):三岐鉄道北勢線阿下喜駅下車、タクシーで約20分
  • アクセス(車):名古屋方面から
     東海環状自動車道大安I.Cから(国道306号経由)30分
     東名阪自動車道 桑名I.Cからいなべ方面へ50分
     名神高速道路 関ヶ原I.Cから(国道365号経由)40分
  • アクセス(車):関西・北陸方面から
     名神高速道路 八日市I.Cから(国道421号 石榑トンネル経由)70分
     名神高速道路 関ヶ原I.Cから(国道365号経由)40分
     東海環状自動車道大安I.Cから(国道306号経由)30分
  • 駐車場:有り(無料)

“ボケ(木瓜)” – 名前が印象的な花木

 ”ボケ(木瓜)”は、バラ科の落葉低木で、中国が原産で、平安時代に日本へ渡来したとされています。

 非常に覚えやすい名前は「ボクガ(木瓜)」から由来しています。

 大正時代になり、可愛い花手入れが簡単なことから、庭木や盆栽として植えられるようになりました。

 昭和時代では品種改良が進み、現在では生け垣切り花としても人気のある花木です。

 また、夏にカリンと同じような、非常に良い香りの大きい果実をつけます。

 そのため、主に「ボケ酒」と呼ばれる果実酒ジャムに使われます。

 見分けるポイント

  • 小枝にはトゲがある。
  • 花弁は5枚で”ウメの花”に似ている。
  • 花色は赤色または白色
  • 葉の基部に托葉がある。
  • 夏に楕円形の果実を付け、黄色に熟す。

”ハナモモ(花桃)” – 古事記より登場する歴史ある花木

 ”ハナモモ(花桃)”は、バラ科の落葉小高木で、中国原産の花木です。

 ”ハナモモ(花桃)”は、花の観賞を目的とした園芸品種の総称であり、果樹庭木として植えられています。

 果実を食用とする””と区別するために、花を強調して名付けられています。

 サクラの開花時期に前後して最盛期を迎え、鮮やかな赤色ピンク色白色の花が春の庭先を彩ります。

 桜の名所「幸手権現堂桜堤」や「花見山公園」で、桜と共に春を彩る花木です。

 ハナモモは、弥生時代に中国から日本へ渡来してきたとされており、その歴史は古く「古事記」にも、イザナギが黄泉の国から逃げて帰る際に、鬼にモモを投げつけて退散したとされています。

 このことから、日本に古来より植栽されていたことが伺えます。

 見分けるポイント

  • 若枝は紫褐色または緑色
  • 葉は細長く、非常に細かな鋸歯がある。
  • 花弁は通常5枚で、八重咲き種もある。
  • 初夏に大きな休憩の果実をつける。

”カイドウ(海棠)” – 美人の形容とされる最も美しい花木

 ”カイドウ(海棠)”は、バラ科の落葉小高木で、別名「ハナカイドウ」や「スイシカイドウ」と呼ばれています。

 庭園樹や盆栽、生花などに用いられており、庭木の中でも最も美しい花を咲かせる花木の一つです。

 その花の美しさは、中国の唐の玄宗皇帝が酔って眠る楊貴妃を「カイドウ」に例えるほどです。

 カイドウは花柄が長くピンクの花を下向きに付けます

 また、直径1cm程度のリンゴのような果実を付けますが、食用にはなりません。

 対して「ミカイドウ」は、直径2cm以上の果実を付け、食用になります

 見分けるポイント

  • サクラに比べて花の柄は長く3〜6cm
  • 花は全開しない
  • 若葉は赤色、枝葉は紫色を帯びる。
  • 葉に細かな鋸歯がある。

最後に – 影の主役”バラ科”の花木

 春はサクラが主役となり、各地の桜名所では国内外問わず、多くの観光客で賑わっています。

 その中でも、赤やピンク色の可憐な花を咲かせるバラ科の花木は、”春の色彩のアクセント”となり、より華やかに彩ります。

 このような”バラ科の花木”を見分けられることで、花見がより一層楽しいものになります。

 本記事が、その一助になれば幸いです。

 以上が「春の花木”バラ科”の特徴を紹介!ウメ・ボケ・ハナモモ・カイドウを見分ける方法とは!?」になります。

 最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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