「木のぬくもり」という表現をよく耳にします。

 視覚的に考えると、木材の色は黄赤系の暖色で「あたたかい」印象を与えています。

 そのため、木造家屋は「あたたかく・落ち着いた・安心できる」空間であるとされています。(以下の記事参照)

 また木は手で触れると、確かに「あたたかい」と感じます。

 その他にも、神社やお寺の柱に対して「木は生きている」「木は呼吸している」という表現もよく耳にします。

 しかし実際には、切られた木はその時点で生命を終えています。

 柱はそれ以上成長したり、生命活動を行なっているわけではありません。(以下の記事参照)

 本記事では、これら木の不思議について「なぜ木に触れると温かく感じるのか」「木はなぜ結露しないのか」の理由を解説していきます。

なぜ木に触れると温かく感じるのか?

 木に触れると「あたたかい」と感じるのは、木の細胞の構造が関係しています。

 木は伐採された後、細胞内の水分は抜けていきますが、細胞壁は残るため木の原型を維持しています。

 その結果、細胞壁内に空気を含んだ空間ができます。

 空気の熱伝導性はゼロに近く、熱の移動はほぼ起こりません。

 朝に窓を開け室内に外の空気を取りれたり、エアコンをつけたりと、空気の熱移動は対流によって起こります。

 しかし木の場合は、この細胞壁によって空気が閉じ込められるため、優れた断熱材となり得ています。

 そのため、木に触れると「あたたかい」と感じるのは、手の熱が木に伝わりにくいからです。

 またこれは、羽毛布団が暖かいとされているのと同じ理由です。

 羽毛布団の中に入っている球状の羽毛が空気を閉じ込めるため、体温が外に逃げず、布団の中が暖かく保たれます。

 このように「木のぬくもり」とは、木の断熱性を物語っていると言えます。

木はなぜ結露しないのか?

「木は生きている」「木は呼吸している」という表現を耳にするのは、あたかも呼吸しているかのように空気中の水分を吸ったり吐いたりしているためです。

 約12cm角の無垢のヒノキ柱は、一升瓶2〜3本分の水を吸収したり排出していると言われています。

 このように、室内の湿度が高い時は木が湿気を吸い、室内の乾燥が進むと、水分を室内に放出します。

 このため無垢材は、家の調湿機能の点で重宝されています。

 それでは、なぜ木は結露しないのでしょうか?

 その理由は、この調湿機能によるもので細胞の「浸透膜」が関係しています。(以下の記事参照)

 これは私たちの体内の細胞でも行われている方法でもあります。

 医師が高血圧の人に対し「塩分を控えるように」と言われるのと同じ理由で、人は塩分のナトリウムイオンを摂取すると血液中のイオン濃度が高くなります。

 そのため、血液の浸透圧を一定に保つために、血液中の水分量が増加します。

 その結果、体内を循環する血液量が増え、血管の壁にかかる圧力が高くため、血圧が上がると考えられています。

 この血圧を一定に保ち、均等になろうとする働きは「浸透膜」によるものです。

 この浸透膜の働きにより、木の表面に湿気や水分が近づいても、木の中に取り込まれるので、木の表面は乾燥状態になっています。

 そのため、木は結露しないのです。この調湿機能により、木材は夏場の室内の湿度を低下させ、また冬の結露を防いでいます。

最後に

 以上が「なぜ木に触れると温かく感じるのか?木のぬくもりと結露しない理由を紹介!」になります。最後まで読んで頂きありがとうございます。

 このように、木には人にぬくもりや優しさを与える様々な特徴があります。

 本記事を読んで、さらに木の魅力について関心を持って頂けると幸いです。

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