ケヤキ(欅)の木は、秋に美しく色鮮やかに紅葉します。

「けや」は古語で「美しい」という意味です。「けやけしの木」が訛り「ケヤキの木」と呼ばれるようになりました。

 ご存知のように、紅葉は「もみじ」は赤色、「イチョウ」は黄色に色づきます。

 しかし、ケヤキは個体によって紅葉の色が「」「」「」と3種類存在し、ケヤキの並木通りでは、すべて同じ木であるのに木によって色が異なるという現象が起きます。

「もみじ」については ”紅葉の代名詞「もみじ」の特徴と魅力を紹介!” で紹介しております。また、葉が色付く理由については ”紅葉はなぜ赤色なのか?もみじ狩りの由来と魅力を解説!” で紹介しております。ご興味がある方は是非ご覧ください。

ケヤキは木によってなぜ紅葉の色が違うのか。良いケヤキの見極め方を紹介!

 ケヤキは街路樹や公園樹として最も目にする機会の多い木の一つです。

 ケヤキ科にはエノキムクノキのような大木もあり、まっすぐ伸びた幹の上から枝が伸び、横に大きく扇型に広がります。

 あまりに大きく立派に成長するので、切られていないケヤキの木は遠くから見ても分かります。

 最近では、垂直に伸びる性質を持つ「武蔵野1号」が開発され、街路樹ではこの品種が植えられるところが増えているようです。

 またケヤキは、その大きさから、「日陰木」として古くから旅人の憩いの場所を提供し「人が集まる木」として親しまれてきました。屋敷林としても数多く植えられています。

 このように、古くから親しまれてきたケヤキは、街の木のシンボルとされている場合が多いです。宮城県、福島県、埼玉県では「県の木」にも選ばれています。

 日本一大きなケヤキの木は、山形県東根市にある「東根の大ケヤキ」で、国指定特別天然記念物に指定されており、樹齢1,500年、幹周り16m、直径5mにもなります。

 葉の特徴として、炎のようなギザギザとした形で、紙やすりのような手触りがあります。葉の表も裏もザラザラしています。見かけた際はぜひ一度、触れてみてください。

ケヤキが木によって紅葉の色が違う理由

 ケヤキの紅葉の色が個体によってが異なるのはなぜでしょうか。ケヤキの紅葉についての論文資料がありましたので、以下に抜粋文を掲載いたします。

 接ぎ木によって増殖させ、その葉の色を観察することで、ケヤキの紅葉色の違いが、遺伝的に決まっているのか環境の影響によるものなのか明らかにした。また、毎年同じ紅葉色になるのかの調査も行った。

 今回の研究により、ケヤキの紅葉の色は遺伝的に強く支配されており、紅葉が赤いケヤキは毎年赤く紅葉し黄色いケヤキは毎年黄色く紅葉することが分かりました。また、接ぎ木で増殖させた苗木でも、同じクローンであれば同じような紅葉色になることが分かりました。

 紅葉時のケヤキ並木は、非常に美しい街の景観として親しまれていますが、今後は紅葉色が赤色のケヤキと黄色のケヤキを使い分けることによって、その色の配置も街の景観としてデザインされるようになるかもしれません。

引用:森林総合研究所 林木育種センター

 ケヤキの紅葉の色遺伝子によって決まり、その色は代々受け継がれているようですね。

 また、並木通りなどで、その配色をデザインすることで、近代的な新たな観光地として人気が出てきそうですね。

ひとクセのある!?清水寺の柱の材質

 京都・清水寺の「清水の舞台」を支えている柱は「ケヤキ」の木です。

 ケヤキの材は黄色く、磨くと光沢出るため、古くから建材家具として好んで用いられてきました。光沢のあるケヤキを用いることで、家の中に光を与えることができます。また、「くっきり」とした木目が特徴です。

 ケヤキは大きく育つことから、太いケヤキ丸太の中身をくり抜くことで。和太鼓に用いられています。

 老舗のお店の看板で、大きなケヤキの板が用いられていることがあります。

 これはケヤキが非常に重たい木材であるため、「一度看板を上げたら下ろさない」という意味も込めており、縁起を担いでいるそうです。

 しかし、建材や家具としてのケヤキ利用は、材が「狂いやすい」というデメリットがあります。

 ケヤキの材は赤色白色があり、昔から「赤色は良いが、白色は悪い」と言われてきました。

 白色の材は、木の大径道管の部分で、根から葉までを運ぶ役割があります。

 そのため、材にした際に、反りやすいという性質があります。木の中で「一番暴れる(狂う)木」と呼ばれています。

 経験上、ケヤキ科のエノキムクノキ白身が多い傾向にあります。

 清水寺など建築物などにケヤキを用いる場合は、ケヤキを切ってから長くて10年間、丸太のままで寝かせることで、白身の部分を腐らせる必要があります。そのため、材として利用する「ケヤキ」は、とても手間がかかります。

 現代の住宅では、10年〜20年の建築保証などが当たり前になっています。そのため、材が狂いやすく、強度計算が難しい「ケヤキ」は使われなくなってきています。

 このことから、昔と比べ「最も価値が下がってしまった木」と言えます。

 しかし、ケヤキ材はヒノキ同様、表面に光沢がある(がある)ため、一度板にしてしまうと、表面の油成分によって水を弾き腐りにくい性質があります。

 そのため、清水寺のように雨風にさらされる柱や板にはケヤキが用いられています。

品質の良いケヤキの木を見極めるポイント

 建材に適した、赤身の多い木を見極めるポイントは、葉の大きさを見ることです。

 木にはオスメスの木があります。例えば、イチョウはメスの木が銀杏を実らることで有名です。このように、食材と同様、木の材質も性別によって異なります。

 しかし、ケヤキの場合は見た目で判断することは難しく、花も数十年に一回しか咲きません。そのため、雄花か雌花かで判断することもできません。また、その樹の育った条件によって材の性質が違う場合もあります。

 経験上、葉が小さいものが、ケヤキ材にした際、赤身の割合が多いです。ご参考にして頂けると幸いです。

 以上が「ケヤキは木によってなぜ紅葉の色が違うのか。良いケヤキの見極め方を紹介!」の解説になります。最後まで読んで頂きありがとうございます。

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